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火山灰を活用する干物「灰干し」を学ぶイベントに参加してみた <製造工程&サバの干物のおすすめレシピ2選>

「干物」には旨味を引き出す日本独自の知恵が詰まっています。

去る2025年12月、「コープみらい みらいひろばフォーラム牡丹」主催で開催された干物イベント「干物好き集まれ!」に参加しました。東京都町田市の町田市民フォーラムを会場に、当日は20名ほどの参加者で賑わっていました。

銚子の干物製品の加工・販売を手掛ける株式会社兆星さんが登壇し、干物のおいしさや加工の作業工程、サバの干物を使った料理方法について教えてもらうという内容です。

そして、干物の中でも少し特別な製法の「灰干し」のサバを使った調理実習がありました。

サバの灰干しを使用したレシピにはどういったものがあるのでしょうか。

干物の歴史

干物の歴史はとても古く、日本の食と暮らしに深く結びついてきました。

貝塚から乾燥させた魚を食べていた痕跡が見つかっていることから、魚を干して保存する方法は縄文時代までさかのぼると考えられているのです。冷蔵技術のない時代に、魚を無駄なく食べるための知恵だったと考えられます。

奈良・平安時代になると、干物は朝廷に納められる重要な食料になります。

特にアワビやナマコを干したものは貴重品で、保存がきき、運びやすいことから流通にも向いていました。

能登半島などで親しまれるナマコの卵巣干し「くちこ」(提供:PhotoAC)

鎌倉・室町時代には、塩を使った干物が広まり保存食として定着していきます。

保存食から大衆に親しまれる食品に

そして、干物文化が大きく広がったのが江戸時代です。人口が急増した江戸では、新鮮な魚だけでなく、保存できる干物の需要が高まりました。

伊豆や房総、三浦半島などで作られたアジやサバの干物が江戸に運ばれ、日常のおかずとして親しまれるようになります。この頃に「開き干し」の技術も洗練されました。

アジの開き干し(提供:PhotoAC)

明治以降、冷蔵・冷凍技術が発達しますが、干物は「保存食」から「味を楽しむ食品」へと役割を変えていきます。一夜干しやみりん干しなど、食感や風味を重視した干物が生まれ、家庭の食卓や贈答品としても定着しました。

そして現在の干物は、伝統的な天日干しに加え、衛生管理された冷風乾燥なども取り入れられています。保存のためだけでなく「魚の旨味を引き出す日本独自の加工技術」として評価されています。

干物がおいしくなる理由

干物がおいしいのには理由があります。

乾燥で水分が抜けることで、アミノ酸などの旨味成分が濃くなるのです。この旨味成分と海水の軽い塩味が脂の甘さを引き立てるおかげで、余計な調味料を加えなくてもおいしく食べることができます。

また、栄養面ではたんぱく質、カルシウム、DHA・EPAが摂りやすく、水分が少ない分、少量でも栄養が凝縮しています。

火山灰を活用した製法「灰干し」

干物にはいくつかの製法があります。

風と日光で乾燥させ、香ばしさは出るが、天候に左右される「天日干し」。短時間で軽く乾燥させ、みずみずしさを重視する「一夜干し」。そして、魚に直接風や日光を当てず、火山灰の力を使って水分だけを抜く「灰干し」です。

今回の実習では、この灰干しについて知識を深めることができました。

灰干しサバ開き(提供:PhotoAC)

約二万年前、火砕流のマグマが大地を覆いました。マグマはやがて冷え、粉末状の特殊な火山灰となって堆積します。

超高温で焼成された火山灰は、非常に微細な多孔質構造を持ち、魚の水分と油分を程よい状態に調整してくれる特性を持っているといいます。

灰干しサバの製法

サバは、一切れずつ植物由来のセロハンで包みます。鮮度を保つため、手で触れる時間はできるだけ短くするのがポイントだそう。

そしてよく乾燥させた火山灰をせいろに敷き、その上にクラフト紙とセロハンを重ねてサバを並べます。

さらに上からクラフト紙とセロハンをかぶせ、火山灰で覆って寝かせます。サバに直接灰が触れないよう、セロハンとクラフト紙でサンドウィッチ状に挟むのです。

灰干しの製造方法(提供:こやまゆう)

この製法だと、多孔質構造の天然火山灰が、身から適度に水分を吸収し、臭みも和らぐそう。クラフト紙は、染み出た水分が身に戻らないようにする役割を担います。

灰が湿気を吸い、低温で風の当たらない環境でゆっくり脱水されるのが特徴で、身は硬くなりにくく、サバ本来の旨味がしっかり残るのだといいます。

サバの干物を使ったレシピ

今回の実習で作った干物料理は「サバの干物のちらし寿司」と「サバの干物のホイル焼き」です。どちらも、干物は癖があって苦手というお子さんでも美味しく食べられるレシピです。

ほぐして使うちらし寿司には尾のほうを、ホイル焼きには腹の方を使うと良いそうですよ。

サバの干物のちらし寿司

サバの干物のちらし寿司(提供:こやまゆう)

焼いたサバの干物から骨をとり、身をほぐします。きゅうりを千切り、紅ショウガとシソを細かく刻み、サバと一緒に酢飯に混ぜ込みます。

これにゴマをかければ完成!紅ショウガとシソのおかげで爽やかな一品に仕上がります。

サバの干物のホイル焼き

まず、アルミホイルにオリーブオイルを塗ります。このアルミホイルに、サバの干物と半分に切ったミニトマト、ベジタブルミックスをのせます。塩コショウで味付けし、バターを1辺のせて、アルミホイルを閉じ左右を縛りましょう。

これをフライパンに入れ約2分強火にかけます。その後、水をアルミホイル半分くらいの高さまで入れ、フタをし蒸し焼きにします。中火で8分、弱火で5分加熱しましょう。

ホイルを開き、チーズを好みの量かけてふたを閉じ、1分で完成です。

干物は冷凍庫に常備しておきたい一品!

そのままでも充分美味しい干物ですが、レシピのバリエーションがあると冷凍しておけばさっと使えて便利ですよね。

このイベントを通して干物の歴史・製法・レシピまで学んだことで、干物は冷凍庫に常備しておきたい1品となりました。

みなさまもぜひ、食卓に干物を取り入れてみてはいかがでしょうか。

(ライター:こやまゆう)

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