ほかのキントキダイの仲間との識別
ホウセキキントキはほかのキントキダイ属魚類と似ており、個体によっては同定が困難です。ほかのキントキダイ属魚類とは尾鰭の形で見分けることができます。
ホウセキキントキの尾鰭は湾入型であるのに対し、ほかのキントキダイ属の魚では尾鰭後縁が直線的であったり、後縁が丸く突き出すという点で見分けることが可能です。
ただし、ホウセキキントキも幼魚は尾鰭後縁が湾入しないことがあるため注意したほうがよいでしょう。
ミナミキントキの尾鰭後端は直線的(提供:椎名まさと)日本産キントキダイ科魚類はキントキダイ属7種、クルマダイ属3種、ゴマヒレキントキ属1種、そしてチカメキントキのみをふくむチカメキントキの4属12種からなります。
チカメキントキは体高がやや高めで、腹鰭が非常に大きくその後端は臀鰭の基部をはるかに超えることにより、かろうじて達する程度である、ホウセキキントキをはじめとしたキントキダイ属魚類とは識別できるでしょう。
チカメキントキ(提供:椎名まさと)また、ホウセキキントキとチカメキントキの識別点としては生息環境もあげられます。
ホウセキキントキは主にごく浅いサンゴ礁でもその姿を見ることができますが、チカメキントキは水深100メートルを超える場所から漁獲されます。ただし、ホウセキキントキも水深200メートルほどの場所から漁獲されることもあるようです。
キントキダイ科の魚はみな美味しい
ホウセキキントキをはじめキントキダイ科の魚はいずれの種も、食用魚として重要な存在です。
今回釣れたホウセキキントキも小ぶりではありましたが、塩焼きにして食べてみると身は白身で柔らかく、美味しい魚でした。
ホウセキキントキの塩焼き。上は一緒に釣れたカマス(提供:椎名まさと)なお、ホウセキキントキは琉球列島では多く漁獲されており、沖縄ではキントキダイ科の魚を「いちぐさー」と呼称しますが、これは釣りあげると口腔内から不快なにおいが漂ってくることに由来しているといいます。
しかし、そんな名前で呼称しては売れないようで、那覇や名護では「ひーちー」や、「あかめー」なんていう名前で呼んでいるようです。沖縄本島では食用になり市場においても出るようですが、比較的小型の種のようで八重山諸島では市場には出ないともいわれています。
ホウセキキントキが釣れたら美味しく食べよう
ホウセキキントキは本州~九州の太平洋岸、琉球列島、小笠原諸島の夜釣りにおいて遭遇する可能性が高い魚といえます。
釣れたらぜひとも色の変化を観察して、美味しく食べてください。
(サカナトライター:椎名まさと)
参考文献
具志堅宗弘.1972.原色 沖縄の魚.琉球水産協会.那覇.247pp.
櫻井慎大・増田義男・長岡生真・時岡 駿・冨樫博幸. 2024.異常高水温下の2023年10月から2024年2月に宮城県牡鹿半島周辺海域から得られた北限更新記録を含む29種の南方系魚類の記録.Ichthy, Natural History of Fishes of Japan, 45: 68–84.
下瀬 環.2021. 沖縄さかな図鑑.沖縄タイムス社,那覇.208pp.
魚類写真資料データベース
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