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リージョナルフィッシュが「寿司予報」公開 地球温暖化で寿司ネタはどう変わる?

地球温暖化にともなう海水温の上昇が、私たちの身近な寿司ネタにどのような影響をもたらすのか──。

品種改良を用いた養殖魚の開発などを行うリージョナルフィッシュ株式会社は、“さかなの日”である3月7日に合わせて、特集コンテンツ「寿司予報」を公開しました。

本特集では、海面水温の上昇が魚や養殖業にもたらす変化や、日本の食卓を支える魚を取り巻く環境を整理するとともに、“未来の寿司ネタ”の姿を予報するコンテンツを通じて、地球温暖化と水産資源を自分ごととして考えるきっかけを提供するといいます。

地球温暖化で揺らぐ「魚」と「寿司」の未来

リージョナルフィッシュが公開した「寿司予報」は、地球温暖化による海水温上昇が魚や寿司に及ぼす影響をわかりやすく伝える特集です。

日本近海の海面水温は過去100年で約1.33℃上昇しており、世界平均の2倍以上のペースで上昇、21世紀末には約3.45℃の上昇が予測されるなど、魚類の生息環境は大きく変化しつつあります。

変温動物である魚にとって1℃の変化は、人間の体感で約10℃の気温変化に相当するとされ、わずかな水温上昇が生態や成育に深刻な影響を与えると考えられています。

2025年には佐賀県のマサバ、青森県のホタテ、瀬戸内海のマガキで、大量死が報告されており、夏場の高水温や水温の高止まりが続いたことで酸欠や病気のリスクが高まり、養殖現場にも打撃を与えたとされています。

​変わりゆく回遊ルートと水産ビジネス

「寿司予報」では、日本近海を取り巻く「魚の潮目」も紹介。海水温の上昇により、魚はより快適な水温を求めて北へ移動しやすくなっており、サンマやサケなど冷水を好む魚が減少する一方で、カツオやサワラ、アオリイカなど、これまで南方系とされてきた魚の水揚げが日本近海で増えています。

影響は養殖現場にも及ぶといい、回遊できない養殖魚には逃げ場がなく、ハマチ、ホタテ、サケなど、多くの魚種が高水温ストレスにさらされる厳しい状況が続いているそうです。

さらに、漁業権制度や設備投資、流通の再構築にともなうコストが障壁となり、環境変化に合わせて生産地や魚種を柔軟に切り替えることが難しい現状も指摘されています。

世界的に天然漁獲量が頭打ちとなるなか、水産物需要は拡大を続け、輸入魚の価格も上昇傾向に。ノルウェー産サーモンの高値が常態化し、ウニなどの高級ネタでは、日本が国際市場で“買い負ける”ケースが増加するなど、寿司ネタの確保にも影響が広がるなか、同社は「寿司予報」を公開するに至ったとしています。

​「熱帯魚寿司」から「プラチナ寿司」まで、未来の寿司を予報

「寿司予報」では、こうした環境変化を踏まえ、「未来の寿司はどうなるのか?」をテーマに、ユニークな3つのシナリオを提示しています。

ヒラメやマダイといったおなじみの白身に代わり、カラフルな熱帯性の魚が寿司ネタの主役になるという熱帯魚寿司。

熱帯魚寿司(提供:リージョナルフィッシュ株式会社)

また、回転寿司では安さと安定供給を優先し、加工前提の魚や代替ネタが主力となる可能性を示したフェイク寿司。

フェイク寿司(提供:リージョナルフィッシュ株式会社)

高級寿司が一部の超富裕層の嗜好品となり、高グレードなネタは大幅に価格が高騰する未来を示すというプラチナ寿司の3つです。

プラチナ寿司(提供:リージョナルフィッシュ株式会社)

また、特集内の「未来の寿司ネタ天気予報」では、2100年に海水温が3.45℃上昇した場合を想定し、サーモン、イカ、ネギトロなど人気ネタがどのような状況に置かれるのかを「天気予報」になぞらえて表現。読者が身近な寿司ネタを通じて、温暖化と水産資源の問題をイメージしやすい構成となっています。

​高温耐性品種と陸上養殖で「未来のおいしい寿司」を守る

リージョナルフィッシュは、地球温暖化により変わりゆく海の環境の中で、「未来においしい魚や寿司を残す」ことを目指し、高温耐性品種などの開発に挑戦。

従来より高い水温でも育成できる魚や、陸上養殖で高い生産性を発揮しコスト低減に寄与する品種の開発を進めており、ゲノム編集をはじめとした最先端の品種改良技術を活用して水産物の改良を進めているといいます。

「寿司予報」は、特設サイトから閲覧可能。身近な寿司を入口に、地球温暖化と水産資源という大きなテーマを考えるきっかけとなりそうです。

(サカナト編集部)

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