世界各国の環境保全や生物多様性をテーマに掲げる映画祭で注目の映画として評価されている作品『ミルクの中のイワナ』が2024年4月から、東京・アップリンク吉祥寺など全国で順次公開されます。
環境保全や地域社会などをキーワードに多様な研究者、漁協関係者、釣り人の声を集めたドキュメンタリー映画です。
(※追記:6月2日に東京・四谷三丁目のサカナに特化した本屋『SAKANA BOOKS』で映画『ミルクの中のイワナ』に関連したトークイベントを実施します。)
イワナを通して種を守ること、環境保全を考える
源流域で暮らす生態はいまだ謎が多く、神秘の魚といわれるイワナ。ドキュメンタリー映画『ミルクの中のイワナ』ではSDGsや生物多様性が声高に叫ばれる昨今、「種を守る」とはどういうことか、地域社会と環境をいかに保全するべきかを問いかけます。
研究者や漁業関係者、釣り人など立場を異にする人々の証言から浮き彫りになるのは、イワナを通して見えてくる未来の地球の姿。深山幽谷の美しい映像と音楽に癒されながら、人間と自然の普遍的テーマが胸をうつ、サイエンスドキュメンタリーです。
養老孟司氏「わが国では、淡水産の生物は危機的な状況」
『ミルクの中のイワナ』で監督・プロデューサーを務めたのは一般社団法人Whole Universe代表理事で、ドキュメンタリー作家・映画監督の坂本麻人氏。過去には、岩手県遠野市を舞台に死生観をテーマにした映像作品『DIALOGUE WITH ANIMA』などがあります。
坂本氏は全国公開にあたり、「私たちは、何を道しるべに自然や魚と関わり続けていけるのか。また漁協組合員や研究者の方々と、どのように手を取り合うことができるのか。自然や動物との関わりが薄い現代だからこそ、魚や自然との関わりが今の私たちにとって、これからの多様な社会で生きていくための重要な手がかりになると思っています。これまでに大切にされてきた文化や歴史を通じて、各地域ならではの魚との関わり方を見直し、手を取り合って関わり続けながら魚たちを守っていくためのイントロダクションになると考えています」とコメント。
また、東京大学の養老孟司名誉教授は、「魚のイワナだけに限らず、イワナに関心を持つ人たちの発言を含めた、社会的な視野を含む良質のドキュメンタリーである。画面が淡々と流れていくのに、思わず引き込まれて、最後まで見てしまった。現代のわが国では、淡水産の生物は危機的な状況にある。とくにそうした危機意識のない人たちにも、ぜひ見ていただきたいと感じる」とコメントを寄せています。
映画『ミルクの中のイワナ』作品情報
・タイトル:『ミルクの中のイワナ』
・英題:A TROUT IN THE MILK | 2024年制作 | 日本 | 日本語 | 70分 | カラー | 16 x 9 | DCP
・監督:坂本麻人 | 音楽:DAISUKE TANABE,YOSI HORIKAWA
・企画/制作:THE LIGHT SOURCE | 配給:一般社団法人 Whole Universe
・協賛:SOUTH2 WEST8 | Foxfire | 株式会社TIEMCO | 株式会社フィッシュパス | つりチケ | OMデジタルソリューションンズ株式会社 | OM SYSTEM | NPO法人シュマリナイ湖ワールドセンター
・協力:矢口プロダクション | 法律事務所ZeLo・外国法共同事業 | RIVER-WALK | 週刊つりニュース | SAKANA BOOKS | 全国内水面漁業協同組合連合会
・推薦:水産庁
[出演]
中村智幸(国立研究開発法人 水産技術研究所)/森田健太郎(東京大学大気海洋研究所 教授)/芳山拓(神奈川県水産技術センター 技師)/佐藤拓哉(京都大学生態研究センター 准教授)/山中裕樹(龍谷大学先端理工学部 准教授)/徳田幸憲(高原川漁業協同組合 参事)/菊地勇(役内・雄物川漁業協同組合 代表理事組合長)/西村成弘(株式会社フィッシュパス 代表取締役)/戸門秀雄(郷土料理ともん)/戸門剛(郷土料理ともん)/佐藤成史(ライター、フォトグラファー)/宮沢和史(音楽家)
・公式ウェブサイト:https://trout-inthemilk.com/
・予告編:https://www.youtube.com/watch?v=w4WhYtKbpY8
・サウンドトラック:https://ultravybe.lnk.to/a-trout-in-the-milk
・X (ex : Twitter) :https://twitter.com/trout_inthemilk
・Instagram : https://www.instagram.com/a_trout_in_the_milk
(サカナト編集部)