サカナをもっと好きになる

キーワードから探す

知る

砂底を歩く魚<ホウボウ> まるで足のような胸びれに隠された秘密とは?

赤い体に青いヒレ…美しい魚体を持つ魚「ホウボウ」をご存知ですか? 実はこの魚、興味深い生態を持ったとても面白い魚なのです!

この記事では、ホウボウの特徴や生態、名前の由来などを紹介していきます。

美しい体を持つ<ホウボウ> 足を使って砂底を歩く?

ホウボウは、スズキ目ホウボウ科ホウボウ属に属する海水魚です。北海道南部以南から黄海、東シナ海や南シナ海まで広く分布しています。

ホウボウはその美しい見た目でよく知られています。稚魚の頃は全身が黒っぽいですが、成長するにつれ、この魚の特徴ともいえる鮮やかな朱色になります。半円型の胸びれは深く鮮やかな緑色で、そこに青い斑点と縁が入っています。砂底を移動するときにはこの胸びれを水平方向に大きく広げ、器用に動かして移動します。その姿はまるで蝶のよう。

ホウボウ(提供:PhotoAC)

この胸びれには秘密があります。魚のひれには「軟条」と呼ばれる軟らかいすじがありますが、ホウボウの胸びれでは軟条のうち一番下の3対が分離し、足のように太く発達しています。これを「遊離軟条(ゆうりなんじょう)」といいます。この部分を足のようにうまく動かすことで砂底を移動しているのです。

さらに、軟条の先には味がわかる感覚細胞があるといわれています。遊離軟条を使って移動しながら、砂底にいる獲物を探っているのです。

遊離軟条を使って歩くホウボウ(提供:PhotoAC)

ホウボウは鳴く魚としても有名!名前の由来にも?

ホウボウは浮袋から音を発することから、「鳴く魚」としても知られています。これが転じて名前の由来になったという説も。この章では「鳴く魚」と呼ばれる所以を紹介します。

「鳴く魚」ホウボウ

ホウボウは、釣り人などの間で「鳴く魚」と認識されており、身に危険が迫ると「ぐーぐー」、「ぐっぐっ」といった音を発します。この鳴き声は喉からでなく、体内にある浮き袋が収縮することで音が鳴ります。このことから、ホウボウの浮き袋を指して「鳴き袋」と呼ぶこともあります。

鳴く理由ははっきりとはわかっていませんが、求愛、威嚇、コミュニケーションなどのためだといわれています。水族館などでは聴くことのできない鳴き声ですが、インターネットで調べてみると、ホウボウが鳴いている動画を見つけることもできますよ。

ホウボウ(提供:PhotoAC)

この「鳴き袋」、実は珍味としても知られており、軽く湯通ししたり干したりすることで美味しく食べることもできます。手に入れることのできる機会は少ないですが、一尾買いしたときにはぜひその味を試してみてください。

名前の由来は諸説あり!

ホウボウの名前の由来は諸説あり、この鳴き声が「ボーボー」と聞こえるから、という説もそのうちのひとつです。

ホウボウ(提供:PhotoAC)

他の由来には、先ほど説明したように底を這うように移動することから、「這う」が転じてホウボウと呼ばれるようになったという説や、方々(ホウボウ)に歩き回ることからこの名前になったという説があります。

名前の由来となったエピソードにも、ホウボウの不思議な生態の持つ魅力が詰まっていると感じませんか?

ホウボウに似ている魚 見分けるポイントは?

ホウボウによく似た魚に、トゲカナガシラという魚がいます。この魚はホウボウ科カナガシラ属に属する魚で、鮮やかな朱色の体と青・緑をベースにした大きなヒレ、遊離した軟条を足のように使うことなど、生活・外見ともにホウボウとよく似ています

ホウボウが平均30センチほどになるのに対し、トゲカナガシラは20センチほどと少し小型であること、また、ヒレに黒く大きな眼状斑があり、この部分でホウボウと見分けることができます。

日常で出会う機会も多い

味が良く、煮つけや刺身、鍋などさまざまな料理に合うことから、飲食店で見る機会も多いホウボウ。また、水族館で展示されることもあります。その見た目のインパクトや出会う機会も少なくないことから、この魚自体の認知度は高いのではないでしょうか。

この記事では、ホウボウの生態や名前の由来について紹介しました。ただ名前や見た目を知っているだけでなく、より深く知ることで魚との関わりに深みが増すのではないでしょうか。

(サカナト編集部)

(参考:吉野雄輔、瀬能宏(2018) 山渓ハンディ図鑑 改訂版 日本の海水魚 山と渓谷社)

  • この記事の執筆者
  • 執筆者の新着記事
サカナト編集部

サカナト編集部

サカナに特化したメディア

サカナに特化したメディア『サカナト』。本とWebで同時創刊。魚をはじめとした水生生物の多様な魅力を発信していきます。

  1. 埼玉・熊谷市にしか生息しない魚<ムサシトミヨ> 現在の生息地は「奇跡的に残った場所」

  2. <アカヤガラ>はタツノオトシゴの仲間? かつて漢方に使われていたことも

  3. 関東でよく見られるカサゴ類7種の見分け方 <カサゴ目>はもう古い?

RANKING

DAILY
WEEKLY
MONTHLY
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10

関連記事

PAGE TOP