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キスに似た深海魚<ニギス> メギス・沖ウルメの呼び名で知られる定番の食用深海魚

ニギスという魚をご存知でしょうか? この魚はメヒカリと並ぶ定番の食用深海魚で、底引き網が行われている地域では必ずと言っていい程、見かける魚です。

この記事ではニギスについてご紹介します。

キスに似ているからニギス?

ニギス(提供:PhotoAC)

ニギスは日本海や福島県以南の太平洋に分布する深海魚で、水深70~500メートルの砂泥底に生息。体長は20センチになり、日本で見られるニギスの仲間の中では大きな部類です。

ニギスは漢字で似鱚と書きますが、これは姿がキスに似ていることに由来します。しかし、分類学上でニギスとキスは異なるグループに属しており、前者はニギス目ニギス科の魚なのに対して、後者はスズキ目キス科に含まれます。

ワニトカゲギスやソコギスなど、深海魚の中に「○○ギス」と付く種は多くいますが、いずれもキス科ではありません。また、ニギスは目が大きいことから石川県ではメギス、沖合にいるため高知県では沖ウルメとも呼ばれており、メギスという呼び名は全国的にも広がっています。

ニギスは底引き網でたくさん獲れる

ニギスは日本の沿岸で行われる底引き網漁で多く漁獲される魚の一つで、大小さまざまなサイズが網に入ります。

ニギスの有名な産地は底引き網が盛んな静岡県、愛知県、高知県、石川県、鹿児島県などで、特に石川県ではニギスの漁獲量が非常に多く、国内でトップクラスですJFいしかわ-いしかわの魚)。

また、日本のニギス科は2024年4月現在で5種が知られていますが、ニギスの他にもカゴシマニギスという種が食用として知られています。

名前の通り鹿児島などニギスよりもやや南で多く漁獲される魚で、地域によってはニギスとカゴシマニギスが混ざる場合もあるようです。本種はニギスよりもやや小ぶりであるものの、味が良いことからまとまると市場へ出荷されることもあります。

ニギスは小さいけど旨味が強い

ニギスは食用魚の中では小さい部類に入ります。身は水分が多いものの旨味が非常に強いことに加え、程よい脂ののり、クセのない味わいや栄養価が評価され、様々な料理で食べられています。

干物や煮付け、フライはニギスの定番料理。鮮度の良いニギスが手に入る産地では刺身や寿司でも食べられています。ニギスは鮮度の低下が非常に早い魚なので、生食できるのは産地ならではでしょう。

ニギスの一大産地で知られる石川県では「めぎすの団子汁」が郷土料理として継承されています。すり鉢ですり身にしたニギスを団子状にした後にだし汁で煮たシンプルな料理で、石川県のみならず他の産地でも食べられているそうです。

鮮度の良いニギスは産地以外で手に入れることは難しいですが、加熱用のニギスは関東などでも見られるようになってきました。すり身にするのが面倒という方は、ただ煮たり焼いたりするだけでも美味しいのでぜひ試してみてください。

(サカナト編集部)

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サカナト編集部

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