サカナをもっと好きになる

キーワードから探す

知る

サンゴを分類する4つの方法 飼育・アクアリウムに特化した分類方法とは?

サンゴは植物ではなく、刺胞動物と呼ばれる動物の一種です。サンゴはサンゴ礁をつくり、その地域に生きるヒトを含むすべての生物の生きる基盤を生み出すほか、近年はこのサンゴそのものを水槽で飼育するアクアリストも増えてきました。

そんなサンゴは学術的にもよく使用されるリンネ式ルールのほか、アクアリストによって独特な分類もなされてきました。今回はアクアリストによるサンゴの分類と、リンネ式分類の違いについて解説します。

なお、ここではサンゴの飼育についても触れています。しかしながら、サンゴはいかなる種も真水(淡水)で飼育することはできません。またサンゴ飼育には、淡水魚や海水魚飼育とは異なるものが必要になります。詳しくは専門誌などをご参照ください。

そもそも、サンゴとは何?

コモンサンゴのポリプ(撮影:椎名まさと)

サンゴ刺胞動物門の動物です。サンゴは他の海洋生物とは異なり動くことができず、多くの種が光合成をすることから植物と考えられがちですが、刺胞動物門に含まれるれっきとした動物なのです。光合成はおこないますが、これは褐虫藻という藻類を寄生させて、光合成を行いエネルギーを得ているのです。

サンゴをよく見るとひとつひとつ、小さなポリプがあり、ミドリイシやキクメイシなどのサンゴはこれらのポリプの集合体となります。サンゴの表面をよくみると、表面にたくさんのポリプを見ることができ、ポリプから小さな触手をだして餌をとったりしています。

一方ハナガタサンゴクサビライシなどのように巨大なひとつのポリプからなるサンゴもいます。ポリプには小さな触手があり、それを使って餌をとります。

サンゴが集まってできた地形を「サンゴ礁」といいます。サンゴ礁は普通熱帯・亜熱帯海域に発達し、魚をはじめ甲殻類、軟体動物、棘皮動物から大型のウミガメ、最終的にはヒトにいたるまで多くの生物の生息の基盤を作りますが、そのサンゴ礁域の多くは海水温の上昇や、大規模なダイナマイト漁法、赤土の流出などにより危機的な状況にも置かれています。

六放サンゴと八放サンゴ

アワサンゴ。ポリプの先端が12(6の倍数)に分かれる「六放サンゴ」の一種(撮影:椎名まさと)

今日の分類体系において使われている「リンネ式分類」は、生物を上位分類群から順に「界・門・綱・目・科・属・種」にわけ、その間に「亜綱(綱と目の間)」、「亜科」「族」(科と属の間)などを設けることも多くあります。

よく知られているサンゴをこのリンネ式分類のルールにしたがって分類していくと、ウスコモンサンゴは、動物界‐刺胞動物門‐花虫綱‐六放サンゴ亜綱‐イシサンゴ目‐ミドリイシ科‐コモンサンゴ属‐ウスコモンサンゴ(種)となり、一方でオオウミキノコは動物界‐刺胞動物門‐花虫綱‐八放サンゴ亜綱‐ウミトサカ目‐ウミトサカ科‐ウミキノコ属‐オオウミキノコ(種)となり、ウスコモンサンゴとオオウミキノコは亜綱の段階で分かれていることがわかります。

なお、目よりも下の分類体系は大幅に見直しが行われており、書籍などによって科名などがかわっていることがあり、注意が必要です。

ムラサキハナヅタ。ポリプの先端が8つに分かれる「八放サンゴ」の一種(撮影:椎名まさと)

一般的にアクアリウムショップで見られるサンゴは、六放サンゴ亜綱と、八放サンゴ亜綱に分けられています。前者はポリプやその先端の触手が6対称、またはその倍数あるのに対し、後者は8対称あることが特徴です。

六放サンゴはミドリイシキサンゴなど多くのイシサンゴのほか、イソギンチャクハナギンチャクマメスナギンチャクなども含みます。後者の八放三國無双にはウミキノコトサカ類からウミエラ、ヤギなども含まれています。

ソフトコーラルとハードコーラル

ソフトコーラルの一種、八放サンゴのカタトサカの仲間(撮影:椎名まさと)

硬い骨格をもっているのがハードコーラルです。一方ソフトコーラルにも微細な骨があり、体に小さな骨片を有しているほか、ヤギというサンゴは硬い芯を有しそれに共肉がつき、そこからポリプが出ているようなものもいます。

多くの場合、ハードコーラルが六放サンゴ、ソフトコーラルが八放サンゴとされ、以下に紹介するサンゴ分類法よりもリンネ式分類に近いといえます。

しかし、例えばハードコーラルに含まれるアオサンゴはハードコーラルのほぼ全てを含むイシサンゴ目の含まれる六放サンゴ亜綱ではなく、八放サンゴ亜綱に含まれ、ソフトコーラルに含まれることが多いマメスナギンチャクなどは六放サンゴ亜綱に含まれるなど、そのままこの分類を使うと混乱を招くこともあります。

ハードコーラルの一種、六放サンゴのハナガタサンゴの仲間(撮影:椎名まさと)

飼育にあたってはハードコーラルは骨格形成のためにカルシウム、ストロンチウム、マグネシウムなどを飼育水に添加する必要があります。ソフトコーラルについてもヨウ素微量元素などは添加してあげたいものです。

1

2 3
  • この記事の執筆者
  • 執筆者の新着記事
椎名まさと

魚類の採集も飼育も食することも大好きな30代。関東地方に居住していますが過去様々な場所に居住。特に好きな魚はウツボ科、カエルウオ族、ハゼ科、スズメダイ科、テンジクダイ科、ナマズ類。研究テーマは魚類耳石と底曳網漁業。

  1. 世界最大のカワハギ科魚類<ソウシハギ> 毒魚・食用魚・観賞魚と多様な顔を持つ?

  2. 最大3メートル!深海の巨大生物<タカアシガニ> 鍋に入らないほど長い脚は美味いのか?

  3. クロダイ・キチヌ・ヘダイの見分け方 クロダイは繊細でキチヌはそれほど繊細ではない?

RANKING

DAILY
WEEKLY
MONTHLY
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10

関連記事

PAGE TOP