青いスズメダイの仲間たち
青いスズメダイの仲間のうち、多くの海水魚店で販売される代表的なものを取り上げます。
ルリスズメダイ Chrysiptera cyanea
ルリスズメダイは西太平洋のサンゴ礁域に見られ、日本では主に琉球列島で見られます。全長は7.5cmほどです。雌雄で尾びれの色彩に違いがあり、雄は尾鰭まで青く、雌は尾鰭が透明になっているといいます。
「こばるとすずめだい」という別名で呼ばれていたこともあり、現在でも観賞魚店ではこの名前で呼ばれていることもあります(この場合雌雄関係なく呼ばれるよう)。
またパラオなどでは雄の尾鰭先端がオレンジ色になる個体群も知られています。性格はかなりきつく、大きな水槽でないと混泳は難しいといえます。
シリキルリスズメダイ Chrysiptera parasema
シリキルリスズメダイはルリスズメダイによく似ていますが、体はルリスズメダイよりも短く、尾柄部が黄色っぽくなっているので見分けることができます。
ルリスズメダイよりもやや小さく、大きい水槽であれば比較的混泳させやすいのですが、それでも性格はきついので注意が必要です。また青一色でなく黄色が入るからなのか、ルリスズメダイに比べると少々高価です。全長は5cmほど。
なお、従来シリキルリスズメダイとされていたもののうち、尾鰭と臀鰭だけが黄色いものは Chrysiptera giti として、さらに尾鰭と腹鰭、臀鰭の一部が黄色いものは Chrysiptera arnazae という別種とされました。
アズールドゥモワゼル Chrysiptera hemicyanea
アズールドゥモワゼルは、古い本では「ロイヤルデムワーゼル」という名前で掲載されていることもあります。古くから親しまれてきたスズメダイ科の魚です。
シリキルリスズメダイを含むコンプレックスの1種であり、シルエットはシリキルリスズメダイによく似ているのですが、腹部の黄色が目立つのが特徴です。
性格はルリスズメダイと比べればまだおとなしいほうですが、小型水槽で他の魚と混泳させるのは注意が必要です。また産地もインドネシアのなかでもオーストラリアよりのほうで、その分お値段も高くなってしまいます。全長5cmほど。
スプリンガーズドゥモワゼル Chrysiptera springeri
スプリンガーズドゥモワゼルはフィリピンやインドネシアに分布する種で、青いスズメダイの仲間としては小型で全長5cmほどになります。
名前の「スプリンガーズ」というのは人名由来で、スミソニアン博物館のビクター・G・スプリンガー博士に因みつけられています。
体側に不規則な黒い斑紋が入りますが、これが入らないものもおり(鱗に黒い線があるだけ)、現在は前者を「フィリピンタイプ」、後者を「インドネシアタイプ」としていますが、もしかしたらそれぞれ別種となるかもしれません。
本種に限らず、ルリスズメダイ属の魚は同じ種類とされていても、地域によって色彩や模様が異なる種類が多く、そのような地域個体群が別種とされるようになったこともあります(先述のChrysiptera arnazaeなど)。この属としては比較的おとなしい種です。
セナキルリスズメダイ Chrysiptera starcki
セナキルリスズメダイは、その名の通り背中が黄色いルリスズメダイの近縁種です。全長6cmほどになります。
沖縄などのやや深場(20m~)に生息しており、採集に手間がかかるのでお値段はルリスズメダイよりも高価です。しかしその分状態よく届くことが多いといえます。
性格はやはり強めなので他の魚との混泳は注意が必要です。
ソラスズメダイ Pomacentrus coelestis
ソラスズメダイはルリスズメダイ属ではなく、ソラスズメダイ属というまた別のグループです。
北海道以南の各地沿岸に生息し、日本海岸でも少ないもののその姿を見ることができ、南日本では越冬していて繁殖もしているようです。
海では鮮やかな青い色と、黄色い尾鰭や臀鰭が美しい魚ですが、飼育下では色が黒っぽくなりやすいという注意点もあります。
また、海の中では大きな群れで見られるのですが、小型水槽では単独での飼育が望ましいでしょう。
60cmくらいの大きさの水槽であれば、他の魚との飼育もできます。全長7cmほど。なおソラスズメダイにも、クジャクスズメダイなどのよく似た魚が数種ほど知られています。