先日、とある場所へクサフグの産卵の観察に行ってきました。その光景が圧巻で、命が躍動する凄まじい瞬間を写真に収めることもできました。
今回はクサフグの不思議な産卵生態を紹介しつつ、筆者目線で見たクサフグ産卵の様子を皆様にお伝えしていきます。
クサフグの産卵は命がけ
クサフグは日本各地でよく見られる小型のフグの仲間です。比較的浅い場所でも普通に見ることが出来ます。釣り糸を噛み切ってしまうため、釣り人たちには嫌われがちです。
また皮や内臓に非常に強力な毒を持っているので、一般人がクサフグを調理するのは原則行ってはいけません。
ほとんど陸に乗り上げたような状態で産卵
そんな彼らですが、初夏から夏にかけて波打ち際で集団産卵・放精を行います。ほとんど陸に乗り上げたような状態で産卵を行うのです。場所によって産卵生態が少しずつ異なるようで、ある場所では大潮の1日〜4日前に産卵し、逆に大潮後の数日間に産卵する場所もあるようです。
なぜわざわざ波打ち際で産卵をするのか、実は詳しいことはあまりわかっていません。波打ち際で産み落とされた卵の大部分は波によって洗い出され、沖合の石の隙間などに留まって発生していくそうです。
しかし、上記のように産卵時期や産卵床も場所によってまちまちで、これらの産卵習性にどんな利点があるのか、まだ良くわかっていないそうです(クサフグの産卵 なぜ波打ち際に集まるのか―NIKKEIリスキリング)。
クサフグ産卵を見に行ってみた
さて、そんなクサフグ産卵の貴重な瞬間を収めるべく、私はとある海岸を訪問。約3時間かけて移動し、ようやくクサフグが産卵するという海岸に辿り着きました。
思いのほか寒く、半袖で来たことを後悔しましたが、その後圧巻の産卵光景に夢中でシャッターを切り、寒さなど忘れてしまうのでした。
今回私が訪れた海岸は産卵場所の荒らし等を防止するために伏せさせていただきます。
ゾロゾロと集まるクサフグたち
見る限り何の変哲もない普通の海岸に、突如として無数の黒い影が現れます。クサフグの大群がやってきました!
ダイビングなどで単独行動するクサフグはよく見ていたのですが、こんなに大規模な大群で見たのは初めてです。クサフグたちは波に揺られながら周囲を見渡します。