滑らかな肌に散りばめられたラメのように煌く斑点。置き物かと疑ってしまうほどに艶やかな生き物、トウキョウサンショウウオ。
独特な姿を苦手に感じる人もいるかもしれませんが、見て、知って、その魅力を広めてみませんか。
トウキョウサンショウウオの分類

トウキョウサンショウウオ(撮影:南あずま)(撮影場所:すみだ水族館)
トウキョウサンショウウオは両生類有尾目サンショウウオ科サンショウウオ属に分類されます。日本固有種のサンショウウオで環境省の絶滅危惧種II類に指定されています。
1931年現あきる野市で初めて発見されたことからその地にちなんで名付けられたそう。ですが、生息場所の変化や外来種による捕食、ペット目的の採取などによりここ40年程で個体数は急激に減少。各地で個体を守ろうとする運動が進んでいます。
日本産の小型サンショウウオの分類は非常に難しく、外見での識別はとても曖昧なものです。近年のDNA研究が発達したことで判別が明らかなものとなり、トウキョウサンショウウオはトウホクサンショウウオの近縁であることがわかりました。
トウキョウサンショウウオの体
トウキョウサンショウウオは小型で全長8〜13センチほどです。丸みを帯びた滑らかな体に短い足と飛び出たまん丸の瞳が特徴的です。
体側面に入る皺は左右12本、水色のような銀色のような小斑点が散っています。その見た目はラメが光っているようでお洒落なサンショウウオ。美しいのに手足が短く少し不恰好なちぐはぐさが筆者は好きです。
トウキョウサンショウウオの生態
自然界では関東地方の一部(標高300m以下)に分布。丘陵地の湧水がある山間部の林床に棲み、主にわらじ虫類、節足動物やミミズを食べて生活しています。
1月〜4月が繁殖期でメスは1回の産卵で1対の卵嚢を産みます。その形はクロワッサン型と言われているのだとか。
幼生は水中で過ごし、夏から秋にかけて変態をして陸へ上がります。子どもの頃は水生昆虫やミジンコ、時には共食いをして生きますが、死亡率が高く上陸できるのは5%に過ぎないのです。その後、3〜5年で大人になり自然界では20年以上生きる個体もいるそう。
年々数が減っているトウキョウサンショウウオは自然で見つけることは難しいかもしれませんが、展示をしている水族館もあります。先日は都内のすみだ水族館でどの魚よりも長い時間トウキョウサンショウウオに張りついて見ていました。ぜひ会いに行ってみてください。
(サカナトライター:南あずま)