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雌雄同体の巨大魚<タマカイ> その生態や日本での研究成果とは?

大きなハタの仲間タマカイ。水族館で飼育されていることもありますが、大きな魚体が持つ迫力に圧倒されます。この記事では、タマカイという魚について紹介します。

浅瀬に住む巨大魚<タマカイ>

タマカイはスズキ目ハタ科アカハタ属に属する魚です。世界最大級のハタで、サンゴ礁に生息する硬骨魚類としては最大。その全長はおよそ190センチとかなり大きいことがわかります。なかには3メートル弱、およそ400キロにまで成長した個体も存在するようです。

生息域はインド・太平洋域で、日本でも小笠原諸島や和歌山県、沖縄県などで確認されています

タマカイ(提供:PhotoAC)

浅瀬に生息しており肉食性が強く、小型のサメやウミガメの幼体、小魚、エビをはじめとする甲殻類など、サンゴ礁にすむさまざまな水生生物を食べます

幼魚には大きな斑点や縞模様がありますが、成体になると模様はまばらになります。また、丸い尾を持っていることもこの魚の特徴です。

タマカイ(提供:PhotoAC)

沖縄では身近な魚

沖縄県では、方言名としてアーラミーバイとも呼ばれます。これはタマカイだけでなく、大型ハタの総称で、他にはヤイトハタ、カスリハタも同じ呼称で親しまれています。

釣り人には大物釣りで狙われることも。沖縄の水族館ではアーラミーバイと呼称される3種を見ることができるようです。

ヤイトハタ(提供:PhotoAC)

食用として用いられることも多く、刺身やから揚げ、鍋などさまざまな料理に活用されています。

日本では雌雄同体のタマカイのオス化に成功

タマカイは一生のなかで性が変わる雌雄同体です。幼魚の頃はメスとして成熟し、成魚になると性転換によってオスとして成熟します。タマカイのオスの体重はおよそ34~120キロと報告されています。オスが30キロになるまでには通常5年ほど必要だといわれており、親魚の養成に年月がかかることが問題となっていました。

タマカイ(提供:PhotoAC)

近畿大学水産研究所では、2015年11月に台湾からふ化後2カ月の稚魚260尾を導入し、天然よりも早い段階でオス化させることを目指し、タマカイの親魚養成の研究を進めました。

3年育成した約3~9キロの未成魚31尾に雄性化ホルモンを投与したところ、2019年6月上旬には17尾の個体から精液を排出させることに成功したといいます。これまで日本国内でのタマカイのオス化は体重50キロ以上の成魚で成功した例のみでした。3~9キロの未成魚のオス化は世界的にみても例のない成果だったとのことです。

(参考:絶滅危惧種タマカイの3歳未成魚のオス化に世界で初めて成功 高級ハタ類の養殖研究の発展に期待-近畿大学

この成果は、天然資源の保護に貢献するためのタマカイの完全養殖技術の確立への一歩となりました。また、タマカイと同じく、ハタの仲間で高級魚であるクエとの交雑種クエタマをはじめとする高級ハタ類の養殖研究の発展も期待されています。

(サカナト編集部)

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