まるでノコギリの歯のように、平たくて鋭いトゲのある吻(ふん)を持つノコギリザメ。いかにも強そうです。
ノコギリザメはノコギリをどのように使い暮らしているのでしょうか?
この記事ではノコギリザメの生態や食味について説明します。
ノコギリザメのノコギリは何に使う?
ノコギリザメのノコギリは、「左右に振り回して獲物を攻撃する」「押さえ込む」「刺す」「切る」ために使われています。
ノコギリの真ん中辺りには左右一対の細長いヒゲが生えていて、このヒゲは頭部の太い神経につながった感覚器官です。この感覚器官はロレンチーニ器官といい、生物が出す電気をキャッチすることができます。
このヒゲで海底の砂地を探り獲物を捉えて、獲物を砂の中から掘り出していると言われています。
ノコギリは捕食のために役に立つ一方で、ギザギザしていて網などに引っかかりやすいという弱点があるようです。
ノコギリザメの生態・出産は?
ノコギリザメは日本から中国にかけての様々な水深で、海底の砂地にすんでいます。胎生のサメですが、母サメのお腹からミニチュアのような小さなノコギリザメが生まれると考えると、「出産の時に引っかかったりするのでは」と心配になりませんか?
出産直後はノコギリのトゲがぴったり折りたたまれて生まれてくるため、お母さんを傷つける心配はないそうです(海のビックリ!!すご技シリーズ 19「ノコギリザメ」ー沖縄美ら海水族館公式YouTube)。これは沖縄美ら海水族館がノコギリザメの繁殖を世界で初めて成功させたことでわかったそうです。
ノコギリを持つ他の生き物
ノコギリザメと同じ軟骨魚類によく似たノコギリを持ち、淡水や汽水域の浅瀬に住む「ノコギリエイ」がいます。吻の使い方もノコギリザメに似ており、吻で獲物を探し、吻を武器にして狩りを行っています。
他には、大きなノコギリ形の特徴は見られないものの、名前に「ノコギリ」とつく水生生物もいます。
上唇をもって引っ張ると涙骨からノコギリ状の骨が出てくる「ノコギリダイ」(ノコギリダイーぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑)、貝殻の縁がノコギリ状の「ノコギリガキ」、「ヤエヤマノコギリハゼ」などです。
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