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魚に捨てるところはない?全国各地で食べられている内臓を使った料理

魚を捌く時に内臓を取り除くと思いますが、実は魚の内臓も調理法によっては良いおかずになります。魚の内臓を食べるの?と少し抵抗のある方もいるかもしれませんが、食べてみると結構美味しいものです。

今回は魚の内臓を使った料理をご紹介します。

魚の内臓も立派な食材

魚の主な内臓には肝臓たん臓(苦玉)心臓卵巣精巣幽門垂(ゆうもんすい)があり、たん臓を除くほとんどの部位が食用とされています。

いずれの部位も美味しく食べるには鮮度が非常に重要です。加えて、胃袋などはヌメリがあるので、よく洗浄することもコツになります。他にも、内臓を生食する場合にはアニサキス等の寄生虫によく注意しましょう。

あん肝(提供:photoAC)

魚の内臓の中でも比較的、流通量が多く魚屋やスーパーでよく見られる部位があります。それが卵巣と精巣、そして肝臓です。一つずつ解説していきます。

まず、卵巣はいわゆる魚卵のことで、塩漬けや醤油漬けに加工されるほか、煮付け用としても売られています。有名な魚卵にはサケやスケトウダラがあり、サケの魚卵は「いくら」、スケトウダラの魚卵は「たらこ」と呼ばれ、非常に重要な水産資源となっています。

白子は精巣のことであり、卵巣ほどではありませんが、魚屋でよく見られる食材です。精巣は卵巣と同様に煮付けにされるほか、鮮度の良いものは生のまま食べると、濃厚な味わいがします。出回る白子は主にフグ類、マダラ、ボラの精巣であることが多いです。

肝は魚の内臓の中でも大きく発達した臓器であり、甘味のある脂と濃厚な味わい、とろけるような舌触りが特徴です。肝臓が美味として知られる魚は多く、あん肝(アンコウの肝臓)やカワハギ、チゴダラ(どんこ)は魚屋でよく見かけます。

最近、一部の地域でホシエイの肝がブームとなっており、その食味は「フォアグラに近い」と称する人もいます。

魚の内臓を使った料理

続いては魚の内臓を使った具体的な料理をご紹介します。

鱈胃(たらおさ)と呼ばれる郷土料理は、棒鱈を作った時に出る、マダラのエラと胃袋を干した珍味で、大分県と福岡県の一部地域では、盆に欠かせない食材として親しまれています。魚の胃袋を食べるということ自体は珍しくはありませんが、エラまで食材として加工するのは日本全国を見ても多くはありません。

酒盗(しゅとう)は魚の内臓を長期間熟成・発酵させた発酵食品で、酒が非常にすすむことから、このような名前が付けられました。現代ではマグロ、カツオを使った酒盗が有名であり、主に胃・腸・幽門垂(ゆうもんすい)が使われています。幽門垂は硬骨魚特有の消化器官です。酒盗は内臓に含まれる消化酵素によって発酵が進み、製造されています。

サメの心臓(提供:photoAC)

魚の心臓を使用する料理もあります。魚の心臓は比較的、小さく分かりづらいので、注目しない人が多いかもしれませんが、実は心臓も食用として流通します。とはいえ、魚の心臓は魚体に対して小さいので、流通するのは大型魚の心臓です。大型魚ともなれば心臓も大きく立派な食材になるという訳です。

サメの心臓は通称「ほし」と呼ばれ、主に東北で漁獲されるネズミザメ(モウカザメ)の心臓が使われています。鮮度の良いものは生で食べると独特な食感が非常に美味です。他にもマグロやカツオの心臓は珍味として食べられています。ただし、心臓は鮮度が命であり、古いものは匂いが出るので気を付けましょう。

最後に「ボラのへそ」をご紹介します。「へそ」と呼ばれているものの、正確には胃の一部が発達した幽門部という部位であり、玉のような特徴的な形状から「へそ」と呼ばれるようになりました。他にも独特な形状から「そろばん」と呼ばれることもあります。ボラのへそは生で食べるほか、加熱して食べても非常に美味しいです。食感はコリコリしており、砂肝を彷彿させます。

魚の内臓を食べよう

「内臓=捨てる部位」というイメージもあるかもしれませんが、食べてみると美味しくて驚くものばかりです。冬の時期に魚屋で見られるアンコウやドンコの肝は、内臓の中でも比較的食べやすいので、まずはここから挑戦してみはいかがでしょうか。

なお、繰り返しになりますが、内臓を生食する場合にはアニサキス等の寄生虫によく注意しましょう。

(サカナト編集部)

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