小さくてまん丸とした体をもつ、まさにお団子のような見た目の魚「ダンゴウオ」。
実は生まれたときはもっとかわいくて、ダイバー界隈では「天使ちゃん」と呼ばれたりしています。それはなぜでしょうか?
この記事ではダンゴウオの魅力についてご紹介します。
ダンゴウオってどんな魚?
ダンゴウオはスズキ目カジカ亜目ダンゴウオ科に属する魚で、海に生息しています。成魚は体長が約1~5センチ程度ととても小さいです。色彩は、赤茶色、黄色、緑色なども見られ、環境やエサによっても変化します。
夜行性で、日中はおなかにある吸盤を使ってピタッと底の岩や海藻に貼りついてじっと身を潜めています。そして夜になるとエサを探して海底を動き始めます。食事はワレカラやヨコエビなどの小さな甲殻類や軟体動物、動物性プランクトンを食べます。
泳ぎ方は魚としては変わっており、海底を跳んだり、滑ったり、漂ったりするように動くので、愛らしいと評判です。
自然界での寿命は1年で、日本の近海の浅場では12~5月ごろまでしか見られません。ダンゴウオはその独特な姿とカラフルな体色で、ダイバーや水族館で愛されている魚なのです。
天使の輪はいつ見られる?
ダンゴウオには幼魚の頃にしか見られない、人間でいう赤ちゃんの頃に見られる蒙古斑のような模様があります。その模様は頭部に見られる白い輪なのですが、その見た目が「天使の輪」なのです。
幼魚の大きさはわずか2~5ミリほどで、見つけるのは至難の業。
卵の孵化の時期は地域によりますが、2~4月頃。この模様はふ化してから約7~10日後には消えてしまいます。
ダンゴウオに会いに行こう
この幼魚の時期にしか表れない、ちっちゃな姿を見つけられた時の喜びは当人にしかわからないかもしれません。
筆者も初めてダイビング中に見つけた際には、「海藻についたゴミかな? 気泡かな? いや、待てよ、何か意志をもって泳いでいるような……あれ! 天使ちゃんだ!カメラカメラ!!」と嬉しさで慌ててしまった記憶があります。
実際に、ダンゴ幼魚のその姿はちょこんとしていてとても可愛らしく、ずっとこのままの姿でいいのに~と、人間の赤ちゃんの蒙古斑を見て思う母のような気持ちが湧きました。
自然界の海では青森県から相模湾・三重県の太平洋岸、新潟県から山口県、長崎県の日本海側に生息しているようです。また一部の水族館では展示もしているみたいです。
これを機会に一度ダンゴウオを見に行ってみてはいかがでしょうか。
(サカナトライター・keiko)