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ニジギンポの生態

ニジギンポの分布域は広く、北は北海道襟裳岬から南は琉球列島までほぼ日本各地の海域に分布しています。浮遊物につく習性があるようで、これにより広く分布しているものと思われますが、北海道や東北地方では死滅回遊魚であるように思われます。

浮遊する袋を掬うとニジギンポ・イソギンポ・アイゴが獲れた(撮影:椎名まさと)

流れ藻のほか、ブイやロープ、表層を漂う袋等のゴミにもついているのがよく見られ、網を向けるとその隙間に隠れますので容易に採集することができ、幼魚から成魚に近いサイズの個体まで見ることができます。タイドプールでも見られますが、タイドプールでもホンダワラが浮かんでいたらそれについていたりと、浮遊物との関係が強いよう。

繁殖様式はほかのイソギンポ科の魚と同様に卵生で、マガキ、ホタテガイ、タイラギ、テングニシ、アカニシなどの貝殻やビニール管などを産卵床として利用し、雌はその貝殻の内側に沈性付着卵を産み、雄がその卵を守るという習性をもっています。もし、水中で拾った貝殻の中にニジギンポがいたら、それは卵を守っている雄なのかもしれません。怒ってかみつかれる前に海に戻してあげたほうがよいでしょう。

噛まれないよう注意しよう

ニジギンポは見た目がかわいい小魚ですが、下顎に大きな武器をもっています。本種を捕まえたり、釣ったりした場合には咬まれてけがをしないよう、扱いに注意しましょう。

(サカナトライター:椎名まさと)

文献

(道津喜衛,1982.ニジギンポの初期生活史およびふ化後約3カ月の飼育魚の産卵.長崎大学水産学部研究報告.52.19-27.)

(高木基裕・平田智法・平田しおり・中田 親 編.2010.えひめ愛南お魚図鑑.創風社出版.松山.249pp.)

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椎名まさと

魚類の採集も飼育も食することも大好きな30代。関東地方に居住していますが過去様々な場所に居住。特に好きな魚はウツボ科、カエルウオ族、ハゼ科、スズメダイ科、テンジクダイ科、ナマズ類。研究テーマは魚類耳石と底曳網漁業。

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