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キンメダイによく似た<キンメダマシ> 「騙し」と付くが味に遜色なし?

キンメダイにそっくりな魚に「キンメダマシ」という魚がいます。この種はれっきとしたキンメダイ科の魚ですが、なぜかキンメダイほどは評価されていません。

今回はそんなキンメダマシについてご紹介します。

キンメダマシとは

キンメダマシはキンメダイ目キンメダイ科キンメダマシ属の魚です。

日本(八丈島、小笠原諸島、神奈川県三崎、三重県和具、土佐湾、日向灘、鹿児島県、琉球列島)からインド‐西太平洋の深い海の岩礁域に生息している魚で、その名の通りキンメダイによく似ていますが、キンメダイ属とは別属の魚になります。

キンメダマシ属は日本にはキンメダマシのみが分布していますが、インドー太平洋に数種が分布しています。

名前に「ダマシ」とつく魚

キンメダマシの標準和名に「ダマシ」とあります。これは「騙し」で、他の魚の名前の前につく「ニセ~」(例:ニセクロホシフエダイ)、他の魚の名前の語尾につく「~モドキ」(例:キンメモドキ、タチモドキ)などと同じような意味になります。

名前に「ダマシ」とつく魚たち(提供:椎名まさと)

しかし「ニセ~」「~モドキ」とつく魚に比べ「~ダマシ」は少なく、「エソダマシ」、「ミズウオダマシ」と少数派です。

書籍『虫の名、貝の名、魚の名』では、「~モドキ」とつく魚が34種、「~ニセ」とつく魚が33種 挙げられているのに対し「~ダマシ」とつく魚は14種と少なく、キンメダマシのほかはギンザメダマシ、エソダマシ、ミズウオダマシ、デメエソダマシ、アカクジラウオダマシ、サンノジダマシ、シボリダマシ、アトヒキテンジクダイダマシ、ハナダイダマシ、ムナテンベラダマシ、シラタキベラダマシ、コモンダマシ、ナメラダマシが挙げられているのみです。

キンメダイとの違い

キンメダマシはキンメダイ科の魚です。しかしながらキンメダイなどが含まれるキンメダイ属とは別の仲間になります。

ナンヨウキンメの頭部。キンメダイ属には涙骨に大きな棘がある(撮影:椎名まさと)

キンメダマシとキンメダイ属を見分ける最も簡単な方法は背鰭の棘数で、キンメダマシでは5~7であり、通常4のキンメダイ属よりも多いです。

また、キンメダマシには、キンメダイ属に見られる涙骨の大きな棘がありません。

名前のよく似たキンメモドキ

キンメダマシとよく似た名前の魚に「キンメモドキ」という魚がいます。キンメダマシはキンメダイと同じキンメダイ目キンメダイ科の魚ですが、キンメモドキはスズキ目ハタンポ科の魚で、分類学的にはキンメダマシとは「目」の時点で異なります。

そんなキンメモドキですが、背鰭は1基であることからキンメダイによく似ているということで、キンメモドキの名前がついたのかもしれません。

キンメモドキ(撮影:椎名まさと)

キンメモドキは大きな耳石を有する点や、体つきはテンジクダイ科の魚によく似ています。しかしながらテンジクダイ科の魚は背鰭が2基あり(1基のものもいる)、鱗が細かくテンジクダイ科の魚よりもはがれにくいです。

キンメモドキはキンメダマシと異なり浅海を好み、熱帯・亜熱帯のサンゴ礁域や岩礁域にすみ、大きな群れを作る様子がダイバーによく観察されています。

高知県や鹿児島県では、定置網などにしばしば入ります。食用にされ、揚げて食べると意外と美味、また練製品材料ともされます。

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椎名まさと

魚類の採集も飼育も食することも大好きな30代。関東地方に居住していますが過去様々な場所に居住。特に好きな魚はウツボ科、カエルウオ族、ハゼ科、スズメダイ科、テンジクダイ科、ナマズ類。研究テーマは魚類耳石と底曳網漁業。

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