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テングハギ属魚類 Naso

テングハギ属の幼魚。同定は難しい(撮影:椎名まさと)

テングハギ属で北海道から確認されているのはテングハギ N.unicornis・テングハギモドキ N. hexacanthus・ツマリテングハギ N.brevirostris の3種です。テングハギとテングハギモドキは臼尻で、ツマリテングハギについては北海道日本海岸からの記録があります。テングハギとテングハギモドキは幼魚で、外見からの同定は難しいのですが、DNAバーコーディング法により同定されています。

テングハギ属の魚はいずれも卵や仔稚魚(ケリス期とよばれる)が海流にのって分布を広げるタイプの魚で、テングハギモドキやツマリテングハギなどはアメリカのいずれも西海岸沖に浮かぶココ島(コスタリカ)、仏領クリッパートン島、エクアドル沖のガラパゴス諸島などにも見られるなど、分布域が非常に広域に及びます。

日本海側では山口県萩沖などにおいて、テングハギ属の成魚が対馬暖流にのって偶発的に来遊したと考えられる事例もあります。

クロハギ属魚類 Acanthrus

ヒラニザの稚魚(撮影:椎名まさと)

クロハギ属で北海道から確認されているのはヒラニザ A.mata・ナガニザ A.nigrofuscus・ニセカンランハギ A.dussumieri で、いずれも北海道臼尻から幼魚の記録があります。

ニザダイ科のクロハギ属の魚もテングハギ属の幼魚と同様に卵や仔稚魚(アクロヌルス期と呼ばれる)が黒潮にのって北上し分布が広域に及ぶ傾向があります。

関東でもシマハギやクロハギの幼魚はほぼ毎年見られ、これらの魚は東太平洋にも出現します。

ウスバハギ属魚類 Aluterus

ウスバハギの幼魚(撮影:椎名まさと)

ウスバハギ属のウスバハギ A.monoceros・ソウシハギ A.scriptus はともに南方性のカワハギ科魚類ですが、幼魚が流れ藻につくため広い範囲に見られる種といえます。日本の温帯海域でもよく漁獲されており、分布が広いものといえます。

ただし、あまりにも水温が低いと、弱ってしまい、冬季に日本海沿岸の砂浜などに打ち上げられることもあります。

ソウシハギの幼魚(撮影:椎名まさと)

ウスバハギはカワハギやウマヅラハギ同様に食用魚として利用されますが、ソウシハギの内臓は毒化することもあります。南方ではソウシハギも食用としますが、少なくとも北海道では利用されていないと思われます。

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椎名まさと

魚類の採集も飼育も食することも大好きな30代。関東地方に居住していますが過去様々な場所に居住。特に好きな魚はウツボ科、カエルウオ族、ハゼ科、スズメダイ科、テンジクダイ科、ナマズ類。研究テーマは魚類耳石と底曳網漁業。

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