尾の毒棘に注意
ヤッコエイを含むアカエイ科魚類はそのほとんどの種が長い尾に大きい棘を1~複数本有しています。この棘には毒があるとされ、刺されると激しく痛みますので注意が必要です。
実際にアカエイ科の尾棘は当たり所が悪いと死亡することもあります。2006年には「クロコダイル・ハンター」の異名をもち、テレビや映画でもお馴染みであったオーストラリア動物園のスティーブ・アーウィン氏が、オーストラリア近海でアカエイ科の魚に背後から近づいたところ尾棘の一撃を心臓付近に受け死亡するという事例が発生しています。
また2016年にも、シンガポールの水族館でアカエイ科の魚を移そうとしていた飼育員の男性がやはり尾棘を胸に受け死亡するという事例もありました。
日本においても平成13(2001)年に船上で作業をしていた男性がエイの棘の攻撃を鼠径部にうけ、腸管や大網の一部が腹腔外に出るという重傷を負った事例が報告されています。
温和な性格 防御のために尾を振り回す
これらの事故は攻撃的というよりも、防御のために尾を振りまわして不幸にも刺されたというケースが多いです。
アカエイの仲間は基本的には温和な性格をしていますが、シュモクザメの類などの天敵から身を守るために毒棘を使って身を守ろうとします。アカエイの仲間をダイビング中に見かけても近くに寄りすぎず、ある程度離れたところから観察するようにしたほうがよいでしょう。
アカエイ科魚類の扱い 針を外す時は細心の注意
ヤッコエイは比較的小型のエイですが、伊豆諸島や琉球列島などでは夜間のぶっこみ釣りで比較的よく見られるエイです。
しかし尾に毒棘をもち危険なので、釣りあげたとき、針を外すときには細心の注意を払ってください。もちろんヤッコエイを持ち帰らないときは逃がしてあげましょう。
そうしないとエイもかわいそうですし、他の人がヤッコエイを踏んでしまうおそれがあります。たまにアカエイなどが釣れて防波堤や道の上に放置して帰る釣り人もいるようですが、そのような人は釣り人を名乗るべきではないといえます。
(サカナトライター:椎名まさと)
参考文献
柏原 元・ 田尻 孝・中村慶春・ 宮下正夫・内田 英二・笠井 源吾(2004)、エイ刺傷により腸管脱出をきたした 1 例、日消外会誌 37(2):198~201
中坊徹次(2018)、小学館の図鑑Z 日本魚類館、小学館
クロコダイルハンター エイの一撃に倒れる-All About 旅行
【博物館・農林水産学研究科】日本に生息するアカエイ科のヤッコエイを新種記載-鹿児島大学
水族館員がエイに刺されて死亡 シンガポールーナショナルジオグラフィック
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