どちらも美味しい魚!
フエダイ属の魚も、フエフキダイ属の魚も産地では重要な食用魚です。とくにフエダイ属のフエダイやクロホシフエダイ、フエフキダイ属のハマフエフキは宮崎県や高知県では重要食用種であるのはもちろんのこと、釣り魚としてもよく知られたターゲットといえます。
近年は高級魚としても知られ、フエダイやセンネンダイといった種は非常に高額なものになり、残念ながら庶民には全く手を出せない魚になってしまいました。
一方、比較的小型の種であるクロホシフエダイや、温帯性で日本海岸でもよく水揚げされるヨコスジフエダイ、フエフキダイなどは比較的安価ながら美味な魚として知られています。みなさんも魚屋さんなどで見かけたらぜひとも食べてみてほしいと思います。
しかし、一部の種・一部の産地では毒を有する個体がいるということを覚えておいてください。とくにフエダイ属のバラフエダイや、イッテンフエダイ、フエフキダイ属のヨコシマクロダイやキツネフエフキといった種では中毒例が多く知られており注意が必要です。
ヨコシマクロダイやキツネフエフキは国内では食用魚とみなされていますが、バラフエダイやイッテンフエダイは国内でもシガテラ中毒の例がある魚であり、この2種については少なくとも沖縄県では食用目的の流通が禁止されています。
毒を持つ種には気を付けて、フエダイ属やフエフキダイ属の魚を食べてみてください。また、水族館で展示されることもあるので、見かけたら是非この記事で紹介した特徴に気を付けて観察してみてくださいね。
(サカナトライター:椎名まさと)
参考文献
Carpenter, K.E. and G.R. Allen, 1989. FAO Species Catalogue. Vol. 9. Emperor fishes and large-eye breams of the world (family Lethrinidae). An annotated and illustrated catalogue of lethrinid species known to date. FAO Fish. Synop. 125(9):118 p.
榮川省造(1982)、新釈 魚名考、青銅企画出版、607pp.
橋本芳郎(1977)、魚介類の毒、学会出版センター
檜山義夫・安田富士郎(1972)、中部西南太平洋有用有毒魚類図鑑、講談社、10+266pp.
中坊徹次編(2013)日本産魚類検索 全種の同定 第三版、東海大学出版会
日本魚類学会編(1981)日本産魚名大辞典、三省堂、848pp.
岡村 収・尼岡邦夫(1997)日本の海水魚、 山と渓谷社、784pp.
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