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原因不明の大発生? 突如出現する<オオズワイガニ>は新たな名物になるのか

先日、北海道南部の位置する森町で解禁されたボタンエビ漁。ボタンエビの漁獲量が少ない中、オオズワイガニの漁獲量が増えているとのことです。

本種はこれまでも北海道南部で度々大量発生している甲殻類で、多い年は2300トンもの漁獲があったといいます。

オオズワイガニとは

オオズワイガニはズワイガニ属に分類される甲殻類です。

日本にはズワイガニやベニズワイガニトゲズワイガニが生息しますが、本種は大型になることからオオズワイガニと命名されました。

オオズワイガニ(提供:PhotoAC)

オオズワイガニはズワイガニによく似るものの、ズワイガニでは口上板の下縁が平坦なのに対し、オオズワイガニでは口上板の下縁がM字になることから区別することができます。

日本では少量混獲される程度で馴染みがないカニですが、ベーリング海やアラスカ湾では重要な水産資源として知られています。

オオズワイガニは成長が早い

ズワイガニ属の中では大型になる種と言われているオオズワイガニですが、大きさだけではなく成長速度もズワイガニと異なるそうです。

1984年~1987年(一部の期間を除く)に道南太平洋海域のカレイ刺網、かに籠漁で漁獲されたオオズワイガニを対象にした研究ではオスで甲幅70ミリ、メスで甲幅75ミリが最小成体であり、成体になるまでに要する期間は日本海のズワイガニの約1/4ということが判明しました。

また、同じオオズワイガニでも海域によって成長速度が異なり、北部アラスカ湾のオオズワイガニの約1/2だということが明らかになったのです。当時、5~12月における道南太平洋の平均水温は同時期の北アラスカ湾よりも2度前後高かったことから、海域による成長速度の違いは水温の違いによるものだと考えられています。

過去にもあったオオズワイガニの大漁

今年、大漁に漁獲されているオオズワイガニですが、オオズワイガニの大量発生はこれが初めてではありません。

オオズワイガニは1983年頃から漁獲されはじめ、1986年に2300トン、翌年は1700トンを記録。しかし、その後は漁獲量が激減し1900年を除き100トン台で推移していました。それが2023年に日高海域で大量発生し、多い日には1日10トンものオオズワイガニが獲れたといいます。

カニが大量に獲れるとこは喜ばしいことのように思えますが、カレイ刺網の網を傷づけること、ケガニと比較すると価格が安いことなどから漁業者からは厄介者として扱われていたようです。

一方、日高中央漁協では特別採捕許可を得るなど、オオズワイガニの販路を確立するための動きも見られました。

また、オオズワイガニは味がよくズワイガニにも引けを取らないことから評価が高く、北海道森町ではブランド化も進められています。今後、北海道南部のオオズワイガニが新たな名物となるかもしれませんね。

(サカナト編集部)

参考

道南太平洋海域におけるオオズワイガニの成熟と産卵-北海道立水産試験場

道南太平洋海域におけるオオズワイガニの成長-北海道立水産試験場

日高海域に大量出現したオオズワイガニについて-北海道立総合研究機構

北の海に異変!オオズワイガニが大量発生…コスパ最高でも漁師が「邪魔者」扱いする理由-東京新聞

【海の異変】ボタンエビ取れず厄介者“オオズワイガニ”が大漁 名物「いかめし」に続けるか? 異変続くエビかご漁で商品価値を生み出そうと試行錯誤― 北海道森町-Yahoo!ニュース

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サカナト編集部

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