これからが旬のワカサギ。天ぷらは最高の一品で、スーパーで見かけるとつい買ってしまいます。
そんなワカサギのパックに混じる“見慣れぬ魚”……。
ご飯の前に親子で検索大会が始まりました。この魚はいったい?
はるばるやってきたワカサギ
筆者が住む小笠原でも、冬になるとパックに入ったワカサギがスーパーに並びます。週に一度の定期船・おがさわら丸で24時間の船旅を経て、本土の食材たちがやってくるのです。
ワカサギの天ぷらは私も子どもたちも大好きで、スーパーで見かけるとすぐに手にとります。
昨年の冬も何度となく購入したワカサギですが、今回購入したワカサギを家で洗っていると……
「痛っ!」
手にトゲが刺さりました。なぜ? ワカサギにトゲはないはず。
パックを見てみると、違う魚が1匹混ざっているではないですか。しかも、初めて見る魚です。
ワカサギよりも小さな5センチ程の大きさ。立派なトゲを持っていて、ちょっとかっこいい。
「これは何!?」
子どもを巻き込んでの大検索大会が始まりました。コンロの火をとめて、上の子は図鑑を広げて、下の子と私はスマホとタブレットでぽちぽち。
謎の魚を調べた結果……
出てきた名前は「トミヨ」でした!
トゲウオ科の魚で背中と腹側にトゲがあるのが特徴。河川や湖、浅い海にも住んでいる魚です。
日本には8種類いるそうで、調べるととても面白い魚でした。オスが水草などを集めて巣をつくり、求愛行動をし、さらに子育てまでする種類もいるのです。
スーパーを巻き込んでのお宝探し
後日、購入したスーパーの店員さんにこの話をしにいきました。
どこ産のワカサギだったのかを聞くと、「たぶん北海道産だったと思います」とのこと。となると、北海道東部に生息するトミヨの可能性が高そうです。
おがさわら丸が入港する日の店内は品物と買い物客であふれかえり、ワカサギももれることなく商品棚に並びます。
店員さんはその後、全部が全部ではないですが、買い物カゴに入ったワカサギをレジ打ちのタイミングでトミヨが入っていないかチェックしていました。そして、私の顔を見るなり、「この便のも(トミヨは)いなかったですね」と会話に花がさくようになりました。
気づけば、我が家を飛び出してスーパーも巻き込んでのお宝探しに……。ワカサギの時期が終わり、入荷がなくなると少し寂しさを覚えてしまうのでした。
水族館に展示されていた「トミヨ」
夏になり、上京した時に行った「しながわ水族館」でなんとトミヨの展示を発見。他の水槽に比べてその小さな水槽には、小さなムサシトミヨが泳いでいました。
今までは気づきもしなかった「トミヨ」の3文字が目に飛び込んでくるのでした。もちろん、親子で水槽にかじりつき、生きているトミヨをじっくり観察。写真も撮り、説明文もしっかり読んできました。
台所のワカサギから始まったトミヨとの出会いが大きく広がりました。
魚を食べる楽しみだけでなく、それに加えて“探して見つける”が加わりました。これからの時期、スーパーに並ぶワカサギ。今年もトミヨ探しが楽しみだー!
(サカナトライター:mami)