あまりにも上手に岩に擬態する為、ダイビング中の人にもスルーされがちなオニダルマオコゼ。実は知れば知るほど魅力的な魚なんです。
この記事では、私とオニダルマオコゼの出会いと毒や生態について紹介します
ダイビング中、オニダルマオコゼに出会う
オニダルマオコゼはなんと言っても“擬態の名人”。どこからどう見ても岩なんです。
ある時、ダイビング中に岩の上でフィッシュウォッチングをしていると……。
「あっ! 目がある!」
風景に擬態する生きものの“目”を見つけてしまった時のドキドキ、ワクワク感!
その頃無知だった私は、それが何かも知らず姿にが見たい一心で、足のフィンでツンツン。すると、魚が岩から離れボヨンボヨンと泳いでいきます。しかも、2匹!
どうやらペアの魚だったようです。その魚を見つけた事が嬉しくて意気揚々とガイドに話すと、軽く怒られてしまいました。
それもそのはず、その魚は背ビレに毒を持つオニダルマオコゼだったのです。無知って怖い。
オニダルマオコゼは毒魚
そう、この魚は毒を持っているのです。
背ビレのトゲに猛毒が備わっており、刺されるだけでも痛いのに毒を注入されます。患部の痛みと腫れがしばらく続きます。ひどい時には死に至る事もあります。
足のつく浅瀬のほか、ダイビングで潜る深めのところにある岩やサンゴなどに擬態しているので、うっかり足や手をついた所にこの魚がいると刺されてしまう事があります。岩場を歩く際や、手をつく時は十分に気をつけましょう。
もし刺されてしまった時は目に見える大きなトゲは取り除き、40~45℃程度のお湯につけ(オニダルマオコゼー沖縄県警察)すぐに医療機関を受診しましょう。
オニダルマオコゼが擬態するのは生きるため
オニダルマオコゼの英名は「ストーンフィッシュ」で、岩に擬態する姿が由来となっています。和名オニオコゼの仲間で、ダルマのように丸いことからついたようです。
オニダルマオコゼは岩になりすまし、小魚や甲殻類などの獲物を待ちます。じーっと待ちます。
そして、近くに獲物がくると、凄いスピードで口を開け一瞬にしてとらえて丸呑みします。
鬼のような顔にも意味があり、上向きの大きな口は丸呑みするためなのです。ギョロっと突き出た目は岩になりすましながら通りかかった獲物を見逃しません。
生きるための基本である「食」に貪欲な魚です。
オニダルマオコゼは脱皮する!?
オニダルマオコゼは、さらに凄技を持っています。
なんと、脱皮するんです! 魚が脱皮するというのはピンとこないですが、水槽で飼育していると時折、切手大の薄いベージュ色の皮がヒラヒラと漂っている時があります。
オニダルマオコゼの表面の皮が浮き上がってきて、動くたびに剥がれます。これは、体表に生えた藻や寄生虫を落とすための行動のようです。
脱皮後は綺麗になり色合いもはっきりします。心なしか顔もすっきり……?
独特な特徴の多いオニダルマオコゼ。
海でも水槽内でもあまりにも上手に擬態しているため、フィールドでも水族館でもなかなか見つからない魚ですが、ぜひ立ち止まって探してみてください。愛着が湧いてきますよ!
オニダルマオコゼが分布する磯や浜、ダイビング中は触らないように細心の注意を払ってくださいね。
(サカナトライター:mami)