私たちの生活に欠かせないもの、それが水です。幸いこの国は、蛇口をひねればすぐに飲料水が出てくるから飲み水に困ることはありません。
生活を歩む上で水は絶対に不可欠なものですが、あまりに日常の中に当たり前に溶け込んでいるため、つい私たちは水をおろそかに考えがち。
しかし、しっかりと目配せしながら歩くと、日々の生活の中で移動している街のあちこちに、「水」の存在があることに気付きます。
上下水道、生活のために整備された水路、貯水池に川辺。こういったものは日本中どこにでも見られるもの。私たちは、水に守られて生きているとも言えます。
人間を取り巻いているのは水だけではありません。その水のあるところには、様々な生き物が住んでいます。
ヌマエビやモツゴ、ヤゴにカワニナ──。こういった生き物は、ある程度環境の良い水辺でならいくらでも見つけることができます。
ドジョウもまた、その中の一種です。
砂や泥の中に潜む魅力的な魚<ドジョウ>

ドジョウと言えば各地で食用として流通もしていますが、実はわざわざ買うまでもなく、そこらの水辺で捕獲することが可能です。
「その割にあまり見かけない」と思う人もいるかもしれませんが、それも当然。ドジョウは大抵、泥の中にもぐって顔先だけを出しているので、屋外で確認するのは難しいです。
実際に見つけるには、網がひとつあれば十分。網で水路の泥や川の底砂を削ぐように掬ったりしてみてください。そこにドジョウが生息している場合、すぐに網の中に元気よくうねる生きた姿を確認することができます。
ドジョウは細長い体に馬のような顔をして、ヒゲも蓄えたユーモラスな顔をした魚です。地域によって遺伝子系統も異なるため、微妙に柄や体型も違ってきます。
観察するにはひと手間かかりますが、いざ捕獲しようと思えば案外簡単に捕らえられますし、大抵の地域に生息していることが分かってきます。
飼っても楽しい水槽のメインキャラクター

そんなドジョウは、ペットとしての飼育にかなり適しているのです。水槽に目の細かい砂を敷き詰めておくと、そこに潜って暮らすようになります。
食事を与えると匂いで察知して砂から全身を出し、旺盛な食欲を発揮してくれます。人馴れしにくい個体もいますが、病気にも多少の怪我にも強く、元々屋外にいる魚でもあるため寒暖差にも強いです。
環境によっては降雪地帯であっても冬場でも、水槽にヒーターを入れる必要がありません。ドジョウはペットとして十分すぎるほど強靭なのです。
飼育下では10年以上を生きる場合もあるため、長い間一緒に暮らす相棒としてもオススメできます。
食べて良し、探してよし、飼ってよし。
それが私たちの生活圏のすぐそばに隠れ住んでいる、ドジョウの魅力と言えます。
ペットショップでも販売されていますし、食用を育てることも可能ですが、興味があれば近隣の水辺を覗いてみて、ドジョウを捕獲して育ててみてはいかがでしょうか。
(サカナトライター:松本ミゾレ)