北海道札幌市の都市型水族館「AOAO SAPPORO」が、展示エリア「LIBRARY AQUARIUM 観察と発見の部屋」で2025年度グッドデザイン賞を受賞しました。
同館によると、動物園・水族館としては北海道初、水族館の展示方法での受賞は日本で初めてとのことだといいます。
今後、受賞記念特別展として「みえみえ展 〜さかなと本とオノマトペ〜 」を開催するほか、受賞作品の出張展示などを実施予定です。
展示エリア「LIBRARY AQUARIUM 観察と発見の部屋」とは
受賞の対象となった「LIBRARY AQUARIUM 観察と発見の部屋」は、「見る」「読む」「考える」を組み合わせた新しい展示エリアです。
水槽とキャプション、本をひとつのユニットにまとめ、魚への興味を本の知識へとつなげる仕組みを取り入れています。

また、生き物の特徴をオノマトペ(擬音語)で分類することで、来館者が感覚的に楽しみながら観察できるようになっています。
今回の受賞では、好奇心を起点に自分から学びたくなる能動的なデザインを高く評価。審査委員からは「わくわくを学びにつなげる環境づくり」や「グラフィックと空間演出の完成度の高さ」が評価ポイントとして挙げられています。
受賞を記念した特別展やトークイベントも開催
AOAO SAPPOROは受賞を記念して、10月27日から特別展「みえみえ展 〜さかなと本とオノマトペ〜」を開催。

この展示では、デザインコンセプト「みえないものがみえてくる」をテーマに、審査時に使用したディスプレイや解説パネル、オノマトペを使った展示物などが並びます。
また、「LIBRARY AQUARIUM」にある、オノマトペを用いたキャプションをイメージしたチャーム「AOAO SAPPORO オノマトペチャーム」の販売も開始します。

さらには、11月9日には絵本専門士・森景子さんによるトークセッション、11月11日にはデザイン関係者による「グッドデザインパーティ」を開催。
11月29日には東京大学総合研究博物館教授・遠藤秀紀氏を招き「命がつくるかたち 2025」を開催。遺体解剖学者として進化の歴史を明らかにする遠藤氏が、生物の身体に宿る美と観察の視点をテーマにトークショーを行います。
また、受賞に併せて11月1日〜11月5日に東京ミッドタウンで開かれる「GOOD DESIGN EXHIBITION 2025」や、10月15日(水)〜11月23日(日)にはGOOD DESIGN Marunouchiへの出張展示も行われるそうです。
「都市にいながら自然と出会う」新しい水族館の形へ
水族館研究家の原澤恵太さんは「奇抜さではなく、水族館の本質的な役割を見つめ直そうとする姿勢が評価された」とコメント。館長の山内さんは「都市にいながら自然と出会う仕組みを突き詰めた展示です。専門家だけでなく、さまざまな分野の知恵を集めて作り上げました。お客様からもとても好評をいただいています」と話します。
AOAO SAPPOROは、今後も“新しい水族館の楽しみ方”と“生物や自然との関わり方”を中心に据え、新しい展示や体験づくりに挑戦していくそうです。
今回の受賞について、詳しくは「AOAO SAPPORO」の公式ホームページに掲載されています。
※2025年10月21日時点の情報です
(サカナト編集部)