例えば、慣れない場所に行ったとき、そこに誰か知り合いがいると安心しますよね。
人間ですらそうなのですから、この広い海に生きる魚たちもきっと同じでしょう。
静岡県伊豆・伊東でダイビングをしていると、変わったところで群れを作るコガネスズメダイという魚を観察することができます。
コガネスズメダイについて、ダイバー視点で見えてくる特徴をまとめました。
砂地にまとまるサカナ、コガネスズメダイ
コガネスズメダイは黄色い体色にまるっとした体が特徴的で、伊豆・伊東の海では珍しくない魚。
よく注目していると、彼らは面白い場所に集合しているのです。伊豆の海では、10~30メートルくらいの間でよく見られます。
コガネスズメダイはまとまる習性があります。そのまとまる場所のひとつが、砂地です。根沿いの砂溜まりのような場所を好む傾向にあるのです。
そして、砂地にいる時のコガネスズメダイはなにやら普段の様子と違います。
砂にあわせて、体色を少し白くしているのです。
目立たないようにするための知恵のようです(撮影:川坂秀和 DiveFamilyYellow)ヤギにまとまるコガネスズメダイたちも!
コガネスズメダイたちがまとまる場所のもうひとつは、ヤギです。ヤギと言っても動物のヤギではなく、サンゴの一種であるヤギ類のこと。
ここにどのようにまとまるのかというと……。
なんと、ヤギになりきっています(撮影:川坂秀和 DiveFamilyYellow)ヤギの生えている方向に向かって一生懸命からだを斜めにしている姿が見られます。
伊東の海では夏の終わり頃に見ることができるこの光景。ダイバーが近づくとさーっと逃げますが、またすぐにここに戻ってきます。
単独行動の時期
コガネスズメダイの産卵時期は、伊東の海では5~7月頃。健気に隠れていた今までが嘘かのように、産卵期は活発になります。
少し傾斜のあるツルっとした岩場を好んで、それぞれ縄張りを作ります。
縄張りをアピールするコガネスズメダイのオス(撮影:川坂秀和 DiveFamilyYellow)縄張りに他のオスや、他の魚が来ると体当たりで攻撃します。
岩場でピョンピョンとコガネスズメダイが跳ねていたり、1匹ずつじっとしている時は「そろそろ産卵期かな?」と判断することができます。
単独で縄張りを作りますが、この時も、比較的他のコガネスズメダイと近いエリアで縄張りを作ります。
伊東の海では、この時期になると「コガネスズメダイの縄張りロード」のような場所が現れるのです。
まとまる魚、コガネスズメダイ
水中の至る所でまとまっているコガネスズメダイ。
小さい体の彼らには、生き抜く術がたくさんあります。
彼らの居心地の良い場所を観察すると新たな発見がありますので、ぜひ注目してみてください!
(サカナトライター:まっさん【伊東のインストラクター】)