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<カムルチー>の名前の秘密や不思議な生態 別の呼称の方が有名な魚?

皆さんはカムルチーという魚を知っていますか? 日本にもすんでいる魚ですが、あまり聞き馴染みがない名前ですよね。水族館で見たことがある!という人も少ないかもしれません。

この記事では、カムルチーという不思議な名前の由来や生態などを紹介します。

カムルチーの由来はハングルの発音から!

カムルチーはスズキ目タイワンドジョウ科タイワンドジョウ属に属する大型淡水魚です。その大きさは50センチから1メートルほど。また、重量は5~8キロにまで成長します。

体には円形の斑紋が並んでおり、その艶からも重量感が感じられる外見をしています。分類には「ドジョウ」の名がついていますが、コイ目ドジョウ科に分類されるドジョウとは全く異なります

ドジョウ(提供:PhotoAC)

中国から朝鮮半島、ロシアのアムール川までと東アジアに広く分布しています、日本には朝鮮半島から持ち込まれたため、ハングル「가물치」の発音をそのままカタカナで「カムルチー」と表記するに至りました。「黒」を意味する「검다」(コムタ)と、魚を意味する「-치(-チ)」が合わさってできた名前です。

カムルチー(提供:PhotoAC)

日本では雷魚ライギョ)という和名でも呼ばれています。カムルチー単体のことを指す呼称ですが、タイワンドジョウ科の魚の総称としても用いられています。

英語では、ニシキヘビを思わせる外見からSnakeheadスネークヘッド)と呼ばれています。このどちらかの呼称に親しんでいる人もいるのではないでしょうか。

巣や空気呼吸など…カムルチーの不思議な生態

水流がほぼ無いような緩やかな水域に生息しています。肉食性で、主に魚類を食べていますが、甲殻類や昆虫、カエルやカメなどの水生生物、ネズミやヘビなど水辺に生息する小動物も食べるそうです。

繁殖期は夏で、オスとメスが水面に水草を集めドーナツ状の巣をつくります。その中心部に産卵が行われ、産卵期はオス・メス共に巣の下に留まり卵と稚魚を保護します。1度の繁殖期で最大5回産卵するのだとか。孵化して泳ぎだすと、親魚のもとで群れをつくり生活します。

また、この魚は空気呼吸をすることも大きな特徴のひとつです。頭部のエラに近い部分に「上鰓器官」(じょうさいきかん)と呼ばれる血管が発達した粘膜のヒダがあります。エラから水を吸い込み、その水で上鰓器官を満たし、口から古い空気を吐き出します。そのまま新しい空気を吸い、上鰓器官へ送ります。水はこの際に水中へ排出されます。

カムルチー(提供:PhotoAC)

このように水を使った空気呼吸を行っているため、空気中に取り出してずっと生きられるわけではありません(参考:真骨魚 カムルチーの空気呼吸と複式循環-心電図、板沢靖男、石松惇1993、vol.13)。

米国地質調査所の資料では、水の外でも最長4日間は生き続けるとされています。ずっと生きられるわけでないとはいえ、魚類としては驚きの長さですね。

カムルチーは日本にも定着している

カムルチーには、中国・朝鮮半島南西部が原産地の中国亜種とロシア沿海地方が原産地のアムール亜種がいます。日本に持ち込まれたのは中国亜種で、1923年頃に朝鮮半島から奈良県に持ち込まれました。導入当時にはチョウセンナマズという呼び名もあったそうです。

現在では人為的な放流により全国に定着しています。大型肉食魚であるため、各地の生態系に大きな影響を与えるとされ、日本を含む移入先各地では駆除も進められており、日本国内では移植禁止の措置が取られている県もあります。

カムルチー(提供:PhotoAC)

そんなカムルチーですが、現在では河川や湖沼の改修工事などによって水草が減ってしまった地域や、止水域が減少した地域では、巣材を確保できず繁殖が不可能になり、個体数が減少しているところも。原産地である中国や朝鮮半島では今も養殖が行われており、食用魚として親しまれています。

興味深い生態を持つ魚

東アジアに生息する巨大な淡水魚、カムルチー。巣をつくったり空気呼吸をしたりと、興味深い生態が垣間見えました。日本に定着しているのは好ましくないことですが、水草でできた巣や存在感のある体など面白い生態は魅力的ですね。

(サカナト編集部)

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