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太平洋側北極海における<亜寒帯化>は夏に進行することが判明 12年間蓄積されたデータを解析

極寒の海が広がる北極海。

近年、太平洋側の北極海では、太平洋の温暖な水の流入が増加していることを理由に「亜寒帯化」が進行。亜寒帯化は水温の変化だけでなく、生息する生物も亜寒帯種へ置き換わることを示しています。

太平洋と北極海では異なる種の動物プランクトンが生息していることから、北極海で採集した動物を同定することで亜寒帯化の進行度をすることが可能ですが、これまで太平洋側北極海における亜寒帯化の実態を詳しく解析したデータはありませんでした。

そのような中、北海道大学と韓国極地研究所の研究グループは12年間にわたり蓄積されたデータを共同で解析。北極海における亜寒帯化の実態を解明しました。

この研究成果は「rogress in Oceanography」に掲載されています(論文タイトル:Synthesis of spatiotemporal variability in western Arctic zooplankton communities from summer to fall during 2008‒2021)。

北極海の亜寒帯化

日本のはるか北に広がる北極海。

近年、太平洋側北極海では、太平洋から温暖な水の流入が増加しており、亜寒帯化が示唆されています。

亜寒帯化とは単に水温が上がるだけではありません。そこに生息する生物も亜寒帯種に置き換わってしまうことも意味します。

動物プランクトンは生態系を担う重要な仲介者

海洋における動物プランクトンは生態系を担う重要な仲介者で、植物プランクトンの一次生産を高次生物へ運搬。さらに、寿命が短く、水中を漂うことから海洋環境の変化に敏感な反応を示すとされています。

この動物プランクトンについては、北極海と北太平洋で異なる種が生息しているため、北極海で採集された動物プランクトンを同定することで、亜寒帯化の進行度を判断することが可能。動物プランクトンの中でも、資源量の多いカイアシ類においては北極海産種よりも太平洋産種のほうが大型かつ、エネルギーを多く有しているといいます。

北極の海(提供:PhotoAC)

そのため、動物プランクトン群種における太平洋産種の割合を調べることで、亜寒帯化の進行度と高次生物へのエネルギー供給を評価することができるのです。一方、これまでは短期的な調査に基づく報告が多く、太平洋群集の増減は謎に包まれていました。

そこで、北海道大学と韓国極地研究所の研究グループは海洋研究開発機構海洋地球研究船「みらい」と韓国極地研究所の砕氷船「アラオン」により12年間蓄積された、太平洋側北極海における動物プランクトンと海洋環境データについて、共同で解析を実施。亜寒帯化の実態を解明しました。

夏に亜寒帯化

解析の結果では、太平洋から流入する水の勢力が強い夏季(7~8月)においては太平洋産種が増加し、亜寒帯化が進行することが示されました。

一方、勢力が弱まる9月には太平洋産種は急速に減少し、その後はすぐに亜寒帯化も衰退することが判明したのです。

このことから、太平洋側北極海における亜寒帯化は夏に進行し、秋になるとすぐに元の状態に戻ることが明らかになりました。

夏に亜寒帯化が進むという知見は、温暖化にともなる北極海の生態系を予測する上で重要な役割を担うとされています。

効率化な調査に貢献

現在、太平洋側北極海では亜寒帯化が懸念されており、本来北極海に生息しない生物の侵入も見られているといいます。

今回の研究では、太平洋側北極海の亜寒帯化は夏に進行し、秋には速やかに衰退するということが明らかになりました。

この成果は、温暖化が太平洋側北極海の生態系に及ぼす影響を理解する上で、重要な知見を提供すると期待されています。

(サカナト編集部)

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