海の中で舞い踊るような姿をしたミノカサゴ。毒をもつ危険な魚ですが、見る者を魅了する美しさをも有しています。
そんなミノカサゴには、同じ科に属する魚がたくさんいます。どれもミノカサゴと同じように華やかで素敵な魚たちです。
水族館好きの筆者が実際に水族館で観察したミノカサゴの仲間たちを通して、日本近海に分布するミノカサゴ類の見分け方をみていきましょう。
日本近海に生息するミノカサゴの仲間
日本近海で見られるミノカサゴ類(スズキ目フサカサゴ科ミノカサゴ亜科)は、従来5属に分類されていましたが、2023年に遺伝子・形態・頭部の模様に基づく再検討が行われ、Dendrochirus属とPterois属が再編されることで、亜科全体は8属に整理されました。
この分類再編を受けて、2025年にはミノカサゴ亜科8属の標準和名が整理され、従来の5属(ノコギリカサゴ属、エボシカサゴ属、ヒメヤマノカミ属、セトミノカサゴ属、ミノカサゴ属)に加え、新たに3属ヒレボシミノカサゴ属(Nemapterois)、シマヒメヤマノカミ属(Neochirus)、キミオコゼ属(Pteropterus)が標準和名として提唱され、いくつかの種の属(学名)が変更されています。
科学の進歩によって正確な分類が可能となり、どんどん新しい種や属に変わっていくのは最近のトレンドですね。
水族館で見つけたミノカサゴの仲間
筆者が高知県にある水族館「足摺海洋館 SATOUMI」に訪れた際、ミノカサゴの仲間を観察することができました。
それぞれの魅力を紹介します。
ヒメヤマノカミ
ヒメヤマノカミ(学名:Neochirus bella)は2023年以前にはヒメヤマノカミ属に分類されていましたが、新分類ではシマヒメヤマノカミ属に分類されました。
ヒメヤマノカミ(撮影:額田善之/撮影場所:足摺海洋館)全体的に赤っぽい体色、胸ビレに鮮やかなオレンジ〜赤色の横帯があり、背ビレや尾びれ、尻ビレに暗色点が散在する……といった特徴的な見た目から、ミノカサゴとは見分けがつきやすいでしょう。
他のミノカサゴにある体側の横帯が縞状でないことも特徴です。
ハナミノカサゴ
ハナミノカサゴ(学名:Pterois volitans)。分類は変わらず、ミノカサゴ属のままです。
ミノカサゴには頭部の腹面と胸ビレの付け根部分に模様はありませんが、ハナミノカサゴには茶褐色の模様があります。
ハナミノカサゴ(撮影:額田善之/撮影場所:足摺海洋館)また、ミノカサゴでは背ビレや尻ビレ、尾びれには黒褐色の斑点はありませんが、ハナミノカサゴにはあるため、見分けがつきやすいでしょう。
キリンミノ
キリンミノ(学名:Dendrochirus zebra)はヒメヤマノカミ属に分類されています。分類の変更はありません。
キリンミノ(手前側)(撮影:額田善之/撮影場所:足摺海洋館)尾ビレの付け根部分にアルファベットのTを横にしたような模様があるため、見分けがつきやすいでしょう。
セトミノカサゴ
セトミノカサゴ(撮影:額田善之/撮影場所:足摺海洋館)セトミノカサゴ(学名:Parapterois heterura)はセトミノカサゴ属に分類されます。再検討の結果、分類は変わりませんでした。
尾びれの両端の鰭条(きじょう)に伸長があるため、他のミノカサゴの仲間との見分けが簡単です。
ネッタイミノカサゴ
ネッタイミノカサゴ(学名:Pteropterus anntennata)は以前、ミノカサゴ属でしたが、新しくキミオコゼ属に分類されました。
ネッタイミノカサゴ(撮影:額田善之/撮影場所:足摺海洋館)ネッタイミノカサゴの特徴は胸ビレで、骨のようなスジ、鰭条の間の膜(鰭膜・きまく)が先端まで達していないことです。
また、胸ビレには多くの黒斑があるのが特徴です。
水族館で見分けにチャレンジしよう!
日本近海に分布するミノカサゴの仲間について見分け方の一部を解説しました。
ヒレや体色、模様などの違いで見分けができるので、ツバメウオほどの難しさではありません。少し観察すれば見分けることができるでしょう。
最後に問題です。下記画像の魚はどの種類でしょうか?
問題:このミノカサゴの仲間は何という種類?(撮影:額田善之/撮影場所:渋川マリン水族館)答えはハナミノカサゴ。優雅なヒレが美しいですね。
水族館で案内パネルを見ずに、ミノカサゴの仲間の見分けに挑戦してみましょう。家族でチャレンジすればきっと楽しいですよ。
(ライター:額田善之)
参考文献
鹿児島大学総合研究博物館 ICHTHY「フサカサゴ科ミノカサゴ亜科に帰属する属の標準和名」
中坊徹次(1993)、日本産 魚類検索 全種の同定、東海大学出版会