サンシャイン水族館で現在開催中の特別展「ゾクゾク深海生物2026」。
このイベントでは普段あまり見ることのできない深海生物の生体や標本が展示されています。
ゾクゾク深海生物2026 館内入口(撮影:ととげ/撮影場所:サンシャイン水族館)筆者は普段、水の生きもの──特に深海生物の絵を描いています。その際には写真や図鑑を参考にすることが多く、実物を観察しながら描く機会はあまりありませんでした。
動きや生きているときの色、存在感などを実際に見ながらスケッチをしたいと思い、描く機会の多い深海生物が多く展示されるという本イベントに足を運んでみました。
いざ「ゾクゾク深海生物2026」へ!
入場してすぐに展示が始まります。深海の生き物は動かない生物が多く、普通の魚たちよりもその場でのスケッチに適していると思います。
しかし、描きやすい姿や角度ではない状態で静止していることもあり、愛らしさを覚えつつも歯がゆい気持ちになることがありました。この辺りは、水族館で写真を撮影される方と同じような気持ちかもしれません。
ミドリフサアンコウ(提供:ととげ)大きな水槽には泳いでいる魚が多いです。加えて人の行き来も多く、立ち止まって描くのは難しい状況でした。
止まっている生きものを描く場合と比べると、スケッチの難易度はかなり高く感じます。
ホシヒメコダイ(提供:ととげ)しかし、タチウオやタカアシガニなど遠くからみても存在感のある魅力的な生き物も多く、短時間の観察でも印象に残る展示でした。
水族館に来たら、やはり楽しむことを忘れてはなりません。
大きな水槽の生きものたち(提供:ととげ)人の流れを妨げてしまいそうな場所や、スケッチが難しい場面では、無理をせず展示そのものを心ゆくまで味わうのも大切だと感じました。
スケッチをして気が付いたこと
キンシサンゴ(提供:ととげ)スケッチには、目で見たときの特徴や受けた印象も一緒に書き留めておくと、観察の記録として残ってくれます。
図鑑では得られない情報なので、あとから見返したときや、描いた生きものを改めてイラストにするときに役立つのではないかと思います。
ダイオウグソクムシ(提供:ととげ)普段は生きものを写真で観察していますが、実際に生きている姿をスケッチしてみると、自分がこれまでどこを見落としてきたのかがはっきりとわかります。
線を引くたびに生きものの形の印象が変わるため、その都度見直し、確かめながら描き進めていくことになったのが、とても印象に残りました。この経験は、今後写真を観察しながら絵を描くときにも役立ちそうです。
標本も多数展示されています。標本と一口に言っても剥製や冷凍標本、色彩保存標本など様々です。
サメ標本のスケッチ(提供:ととげ)世界に1つしかないヨコヅナイワシのプラスティネーション標本は今回の目玉展示でもあります。プラスティネーション標本は生物の組織内の水分や脂質をシリコンなどの合成樹脂に置き換える技術で作られた珍しい標本です。
腐敗しないため半永久的に保存できるほか、生きているときの構造ごと保存できるため研究にも適しているのだとか。
ヨコヅナイワシのプラスティネーション標本(提供:ととげ)サンゴイワシは、鮮魚コーナーのようなユニークなデザインで展示されていたのが印象に残っています。
また、館内には標本として展示されている生きものを使ったレシピが紹介されているエリアもあり、観察するだけでなく「食」という切り口でも楽しめるのが印象的でした。
深海魚たちはいわゆる「未利用魚」として扱われることが多いそう。
「未利用魚」とは、味に問題がないにもかかわらず、サイズが規格外である、見た目が流通基準に合わない、知名度が低いといった理由で市場に出回らない魚のことを指します。とくに深海域では、多様な生物が水揚げされる一方で、その多くが評価されることなく海へ戻されているのが現状です。
本展示は、飼育スタッフが実際に深海生物の採集に立ち会うなかで、現場で“未利用”と判断され、海に戻される魚の存在を目の当たりにしたことをきっかけに企画されたといいます。
「いつかこれらの魚が、一般の食卓にも並ぶ存在になれば」という思いのもと誕生した展示です。
もし実際に手に入る機会があれば、自分でも試してみたいと思いました。
展示の様子もスケッチ(提供:ととげ)1
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