東北大学大学院生命科学研究科・佐々木誠教授らのグループは、世界で初めてシガテラ中毒の主要な原因毒であるカリブ海型シガトキシン(C-CTX)の化学合成に成功しました。
この研究成果は「The Journal of American Chemical Society」に掲載されています(論文タイトル:Convergent Total Synthesis of Caribbean Ciguatoxin C-CTX1 and Its C3-Epimer)。
シガテラ中毒患者は年間2~6万人
シガテラ中毒は、熱帯・亜熱帯の魚を摂食することで発生する急性自然毒食中毒であり、年間のシガテラ中毒患者は2~6万人と推定されています。
この中毒の原因毒は、渦鞭毛藻によって生産されるシガトキシン(CTX)類で、食物連鎖で魚に蓄積される複雑な海洋天然物です。
中毒の原因になる可能性があるバラハタ(提供:PhotoAC)CTX類は太平洋型、インド洋型、カリブ海型に分けられ、中でも近年はカリブ海型シガトキシン(C-CTX)による中毒がヨーロッパで継続的に発生。温暖化に起因した海水温上昇や魚の国際的な貿易の拡大により、シガテラ中毒の予防対策は世界的に見ても急務の課題となっています。
入手が難しいシガトキシン
しかし、C-CTXは自然界から入手することは困難なほど、極微量な成分であることが知られています。
精度の高い検出法や予防策にはC-CTXの合成が必要不可欠と考えられていますが、構造が複雑であり化学合成は極めて挑戦的だったといいます。こうした背景から、シガトキシンに関する研究は大きくが遅れていました。
世界初!原因毒の合成に成功
そうした中で、東北大学大学院生命科学研究科の佐々木誠教授らのグループは、世界で初めてC-CTX1の化学合成に成功。さらに、C-CTX1の3位異性体の化学合成にも成功しています。
この3位異性体については、毒魚に含まれている可能性が推定されてきたものの、自然界では極微量成分であることから、検出と構造決定は不可能とされていました。
さらに研究では、3位異性体がC-CTX1と比較して3倍ほど毒性が強いことが判明しています。
シガテラ中毒の予防対策に大きく貢献
今回の研究では、シガテラ中毒の原因毒であるカリブ海型シガトキシン(C-CTX)の合成に成功したほか、3位異性体がC-CTX1よりも3倍ほど毒性が強いことを示しました。
この成果はシガトキシン研究を加速するものであり、カリブ海型シガテラ中毒の予防対策に繋がることが期待されています。
(サカナト編集部)