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磯焼け対策と美味しさを両立!「洋野うに牧場の四年うに」出荷開始 4年をかけて育てるウニのサイクルとは?

株式会社北三陸ファクトリー(岩手県洋野町)は5月8日、同町の特産品「洋野うに牧場の四年うに」の今季出荷を開始しました。

4年をかけて育て上げる独自の仕組みで、ウニの甘みと旨みを最大限に引き出すと同時に、藻場の再生や磯焼け対策にもつなげる持続可能なウニ漁業モデルとしても注目されています。

販売は8月中旬頃までの期間限定で、オンラインや飲食店向けに提供されます。

“美味しく食べる”ことが磯焼け対策に

「洋野うに牧場の四年うに」は、陸上施設で1年間、自然の海で3年間の計4年間の育成を行うことで、濃厚でありながら雑味の少ない味わいを目指したウニです。

背景には、世界各地で深刻化する藻場の消失「磯焼け」と、餌不足で身入りが悪く廃棄されてきたウニの課題があるといいます。

世界唯一?自然を生かした「うに牧場」

洋野町では、磯焼け対策としてウニを単に駆除するのではなく、育てて価値に変えることで、環境保全と地域経済の両立を図っています。特徴的なのが、北三陸ファクトリーが“世界で唯一”と謳う「うに牧場」の存在です。

うに牧場とは、1960年代後半に地元漁師が遠浅の岩盤地帯に178本の溝を掘って整備した増殖溝のことで、総延長は約18キロメートルに及びます。沖から流れ込む天然の海藻が溝にたまり、昆布が繁茂することで、ウニにとって理想的な餌場が形成されているといいます。

うに牧うに牧場の一部(提供:株式会社北三陸ファクトリー)

また、洋野町の種市漁港には「うに栽培漁業センター」が整備され、ここでウニは孵化から1歳になるまで陸上で飼育されます。

専門スタッフの管理のもと、1年で約1センチメートルまで成長した稚ウニは、漁師やダイバーの手で沖合の漁場へ放流され、まず2年間、天然の環境で育ちます。

うに栽培漁業センターで育つ稚うに(提供:株式会社北三陸ファクトリー)

その後、昆布が豊富な「うに牧場」に移され、さらに1年間しっかりと餌を摂ることで、身入りと旨みを高めてから出荷されます。

<食害の抑制>と<藻場の回復>に貢献

こうした過程の中、沖合で身入りが悪くなったウニも「うに牧場」へ移し替えられます。海藻の少ない海域から適切にウニを間引きつつ、昆布の繁茂するエリアで再び太らせることで、食害の抑制と藻場の回復に貢献する仕組みです。

「洋野うに牧場の四年うに」の4年サイクル(提供:株式会社北三陸ファクトリー)

水揚げから加工・出荷までの一連の工程は、行政や研究機関も含む地域全体で管理され、“美味しさ”と海洋環境の再生を両立するサイクルが構築されています。

オンラインでも購入可能 夏までの期間限定で出荷

北三陸ファクトリーの下苧坪之典代表取締役は、「『洋野うに牧場の四年うに』は、自然の恵みと地域の文化、人々の努力が積み重なった結晶です」とコメント。解禁直後の5月は、同社が“うにヌーヴォー”とも呼ぶフレッシュな時期で、「すっきりとした甘みと旨みが際立つため、調味料を付けずにそのまま味わってほしい」と呼びかけています。

美味しく食べることで、磯焼け対策など海洋再生の取り組みを後押しすることができる「洋野うに牧場の四年うに」。公式オンラインショップで購入できるほか、飲食店や販売店向けにも出荷される予定です。

※2026年5月12日時点の情報です

(サカナト編集部)

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