海洋生物の中でも強い人気があるウミガメ。 海で見かけたり、一緒に泳ぐことができるのは夢のような時間です。 実は、そんなウミガメが食べられることを知っていますか?
ウミガメは海洋の生物の中でも古くから食材として扱われてきました。伝統的な料理として長く親しまれてきましたが、近年ではその持続可能性や倫理的な問題が議論されています。
今回は、ウミガメ料理の歴史と現状について探ってみましょう。
ウミガメの特徴と生息地
ウミガメは世界中の温暖な海域に生息しています。彼らは陸上で産卵するため、産卵地周辺の海域を主な生息地とし、一般的に海藻、水草、甲殻類、魚類などを食べて暮らしています。一部の種では、100年以上生きることもある長生きな生き物として知られています。
しかし、近年では生息地の破壊や長きにわたる乱獲、密漁、孵化後の生存難易度の高さから生息数が減少しており、ウミガメの保護は国際的な関心事となっています。
ウミガメ食文化の歴史
ウミガメの食文化は多岐に渡り、奥深い歴史をもっています。
日本では、奈良時代には既にウミガメが食べられており、神事や行事の際に供されることもありました。江戸時代になると、一部の地域ではウミガメを狩猟し、その肉を料理にする風習がありました。
小笠原諸島のウミガメ料理
ウミガメを食べる習慣が今も続いているのは、日本では小笠原諸島だけです。小笠原諸島には春になるとアオウミガメが産卵にやってきます。産卵をしにきたウミガメをビーチで見ることができる世界的にも珍しい場所です。
もちろん小笠原諸島でも、産卵を阻害しないよう撮影でのフラッシュを禁止したり、産卵場所に目印をつけて卵が踏まれないよう、ウミガメの命を最優先とし保全に力をいれています。
一方で、離島の小笠原諸島では、ウミガメは貴重な動物性のタンパク源として古くから重宝されており、一つの食文化として根付き愛されてきました。
そのため、ウミガメを食べることは食文化の保全のため禁止はされていません。小笠原諸島では年間135頭までと制限し、ウミガメ保護と食文化の保全の両立を目指しています。
ウミガメはどうやって食べる?
ウミガメ料理は刺身や煮込みが定番です。刺身は馬刺しに近く、マグロと牛肉の間のような味で、意外と淡白でクセがなく美味しくいただけます。
煮込みは亀の甲羅以外のほとんどの部位を使っていることが多く、食感はプルプルとしています。亀の出汁が染み渡るスープにはコクがあり、元気が出る味わいです。
ウミガメを食べることは、その生態系だけでなく文化に対する責任を問われる重要な問題です。また、個体が減少しているウミガメですが、一部の地域では個体数が増えたことで漁網を破ってしまったり、海藻を食べ尽くしてしまうなどの経済被害を起こしていることもあります。
その美しい姿や生態系での役割を理解し、持続可能な方法での共存を目指すことは私たち一人一人にとって大切な課題ですね。
(サカナトライター:百葉)