魚の骨はしばしば魚が嫌いな理由の1つに挙げられますが、実は工夫次第で美味しい料理にすることができるのです。
この記事では魚の骨を活用した料理をご紹介します。
魚離れの要因は骨?
近年、1人あたりの魚の消費量が減少しているのはよく耳にするかもしれません。実際、1人あたりの消費量は2011年に肉の同消費量を下回り、その後も減少傾向にあります。魚の骨は魚食が敬遠される理由の1つであり、「魚離れ」に少なからず影響していると考えられているようです。
骨には魚の体を支える重要な役割があります。魚の体を構成する骨は硬骨と軟骨の2種類あり、硬骨と軟骨で構成された硬骨魚と、体の骨が軟骨のみからなる軟骨魚の2グループがあります。
硬骨は名前の通り硬い骨で、焼き魚などでは小骨(上椎体骨や上神経骨)を取り除く必要があり、これが魚離れの原因の1つといわれています。
魚の骨を柔らかくした料理
魚の骨はある程度の大きさまでであれば顎の力で嚙み砕くことができますが、少し大きなものになると喉や口に刺さり危険です。
魚の骨を柔らかくする方法はいくつかあり、加熱による軟化や酸による軟化が一般的。近年では圧力鍋を使うことにより短時間で骨を柔らかくすることが可能になりました。過熱による軟化を利用した料理では甘露煮や揚げ物全般があり、特に甘露煮は中骨まで食べられるものもあります。
酸による軟化を利用した料理はイワシの梅煮付け、姿寿司全般が知られており、いずれも酸により骨が軟化した料理です。
魚の骨を有効活用した料理
厄介と思われる魚の骨ですが、古来から有効活用する方法が考案されており、ハモの骨切や、雑魚を骨ごとすり身にするじゃこ天など骨を使ったエコな料理も存在します。
骨せんべい
魚を三枚おろしにした時に出る中骨を有効活用したものが骨せんべいです。
骨せんべいに使われる魚は様々ですが、多くの場合で刺身用に三枚おろしした中骨を使用します。そのため、必然的にアジやヒラメなど刺身で消費される魚が使われることが多くなるでしょう。
他にもウナギを捌く時にでる中骨を骨せんべいすることもあるようです。ウナギの骨せんべいは様々な企業が商品化している食品でもあります。
骨湯(こつゆ)
魚の煮付けや塩焼きを食べた際に残る魚の頭、骨を活用した料理に骨湯(こつゆ)というものがあります。
この料理は残った魚の骨にお湯をかけたシンプルな料理で、塩や醤油で味付けします。煮付けの骨はそのまま骨湯にしても美味しいそうです。
骨湯は特定の魚の骨を使った料理ではないため、様々な魚の味が楽しむことができます。魚の旨味が湯に溶け出し立派な一品と言えるでしょう。
骨酒
骨の有効活用とは少し異なりますが、骨酒と呼ばれる魚の骨を使った酒も存在します。
骨酒は焼いた魚のヒレや頭、骨に熱燗を注いだ酒の1種。ヒレを使ったものは「ひれ酒」とも呼ばれています。骨酒になる魚の代表としてフグやイワナ、アユが知られており、特にイワナやアユは丸ごと焼いた物を使用するようです。骨湯同様、魚の旨味が溶け出し香り豊かな熱燗を楽しむことができます。
骨を有効活用して魚を堪能しよう
普段は捨てられてしまうことの多い魚の骨ですが、有効活用する方法はいくつもあるのです。また、小骨を柔らかくする知恵も存在し、近年では圧力鍋の登場により、手軽に骨を軟化させることが可能になりました。
魚の骨が苦手という人は、まずは甘露煮や酢を使った料理に挑戦してみてはいかがでしょうか。
(サカナト編集部)