魚屋で時々見かけるホヤ。産地以外の人々からすれば馴染みのない海産物ですが、食べてみると非常に美味しいことをご存知でしょうか。
また、見た目からは想像できませんが、我々人間との共通点も持った生物なのです。
ホヤとは
赤い色合いと形が独特なこの生物は時に貝類と思われがちですが、実は異なる分類群に属します。
ホヤは脊索動物門ホヤ網(ホヤ類)の総称。ホヤ類は世界で約3000種、日本で300種が知られています。
ホヤ類は多様性が高く、浅海に生息する種もいれば、オオクチボヤのように深海に生息する種も存在。今年、新種記載されたガイコツパンダホヤは非常にユニークな見た目をしていることから話題になりました(ついにガイコツパンダホヤの正体が判明!-北海道大学)。
国内ではマボヤやアカボヤが食用になっており、特にマボヤの流通量は非常に多く、単にホヤというと本種を指すことが多いようです。
マボヤは日本各地に分布するものの、多産するのは三陸や日本海側の一部でこれらの地域ではホヤが特産品として知られている他、養殖が盛んに行われています。
ホヤは人間に近い?
岩礁や海底に固着しているホヤを見るとイソギンチャクや貝類、フジツボの仲間のようにも見えますが、実は我々人間と近い生物であることが判明しています。
ホヤと人の共通点は幼生または胎児の段階で脊索を持つことです。
ホヤの幼体は成体と全く異なるオタマジャクシ型で、この段階のホヤは脊索を持ち泳ぎ回ることができます。人の胎児も脊索を持つことから、両者に共通点があり、かつて脊椎動物に近いとされていたナメクジウオよりもホヤのほうが人に近いと考えられているようです。
ホヤの脊索はやがて消失してしまいますが、人の脊索は背骨に置き換わりこれが体を支える役割を果たします。これらのことから、ホヤは脊椎動物に最も近い無脊椎動物とも言われています。
食用としてのホヤ
そんなホヤですが、先述した通りマボヤやアカボヤは食用して流通しています。
ホヤ類は世界各地に分布するものの、食用としている国は珍しく、日本や韓国など少数です。加えて、日本では珍味として扱われることも少なくありません。
「海のパイナップル」とも呼ばれるホヤは濃厚な味わいと香りが特徴で、貝やウニに通ずる食味を持ちます。ホヤの調理方法は多岐にわたり、焼きホヤや塩漬けホヤ、鮮度の良いものは刺身で食べると非常に美味です。
珍味として知られるホヤは我々人間に近い生物なのでした。食用面だけではなく今後は研究面でも我々人間の助けとなっていくかもしれませんね。
(サカナト編集部)