銀色に輝く体が特徴のタチウオ。その輝きは、マニキュアのラメの原料にも使われています。この記事では、タチウオについて紹介します。
平たく細長い体が特徴 韓国でも親しまれている
タチウオは平たく細長い体が特徴の魚です。鱗がなく、「グアニン」という物質に覆われて光沢のある体表が特徴です。名前の由来はいくつかありますが、体の特徴が刀のように見えることから「太刀魚」や「魛」、頭を上にして垂直に泳いでいることから「立ち魚」と書かれています。
特徴的な平たい体は、釣り人の間で「指4本」「指3本」と特有の表現で計られます。サイズが大きいものは「ドラゴン」と呼ばれることもあるそうです。日本では九州から北海道と広い範囲でとられる一般的な魚です。大型のものは年間を通して流通するものの、小さなものは未利用魚として扱われることもあります。
韓国ではカルチと呼ばれ、日本以上に一般に親しまれています。タチウオと大根を辛く似た家庭料理であるカルチジョリムを代表として、タチウオの刺身であるカルチフェ、タチウオのスープであるカルチグクなど、様々な料理が楽しまれています。
輝く体表はマニキュアのラメに加工されていた
タチウオの体表はグアニンという細かい金属の結晶からつくられた層で覆われています。この膜は擦ると簡単に落とすことができます。
かつてタチウオのグアニンは、マニキュアのラメに用いられていました。現在では合成の色素を使った人工のラメが使われていることが多いですが、少し前のマニキュアのボトルを見ると原材料名に「グアニン」と書かれているものがあります。これはタチウオの体表のグアニンを加工して作られていたものです。
タチウオのグアニンは、マニキュアの他にもアイシャドウや人造真珠、文房具にも使われていたようです。魚の輝きを化粧やアクセサリーに利用する考えは、とても画期的ですね。
また、このグアニンの輝きを釣りのルアーに活用することもあります。グアニンを使用しているものもわずかにありますが、ほかの物質をグアニンの輝きに似せて作るものが多く販売されています。特に、アルミニウムの輝きはグアニンに近いと言われており、アルミニウムで加工が施され光沢を纏ったルアーは釣り人の間で人気です。
全国各地で美味しい魚として認められている
タチウオは、幅広い範囲で水揚げされており、愛媛県、和歌山県、広島県、大分県のプライドフィッシュとして選出されています。同じ魚といえど、プライドフィッシュがプライドたる所以や、各地での歴史を紹介するプライドストーリーにはそれぞれに個性があり、それぞれの県に行って食べ比べたくなること間違いなし。
また、熊本県の「田浦銀太刀(たのうらぎんだち)」、和歌山県の「紀ノ太刀」など、各地ではタチウオのブランド化も取り組まれています。タチウオを食べる機会があれば、タチウオの輝きの活用方法や、各地のストーリーの違いにも目を向けて楽しんでみてください。
(サカナト編集部)