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魚に関する用語の簡単解説 同定に必要な鰭・体型・模様の基本知識

日本は4600種以上の魚が生息している世界屈指の魚類大国です。多くの魚に恵まれていることは大変喜ばしいことですが、これだけの種を識別するのは容易ではありません。

この記事では少しでも多くの人に魚の解像度を上げてもらえるように、よく使われる鰭・体型・模様に関する用語を簡単に解説します。

同定とは

同定(どうてい)は簡単に言えば生物の分類を明らかにする行為です。生物の分類は入れ子人形のような構造になっており、大きい方から界(かい)・門(もん)・網(こう)・目(もく)・科(か)・属(ぞく)・種(しゅ)へと細分化されます。

多くの魚図鑑では目以降の分類を掲載していることが多く、マダイであればスズキ目タイ科マダイ属マダイと掲載されています。(種は省略されることが多い)。種によってはさらに下位の分類である亜種を設ける場合もあります。

魚の鰭

魚には鰭(ひれ)と呼ばれる構造があります。

鰭は魚の同定で欠かせない特徴であり、数・長さ・形・位置関係など様々な要素で種を特徴づけます。鰭は鰭条(きじょう)と鰭膜(きまく)と呼ばれる膜状の構造から成り、さらに鰭条は棘条(きょくじょう)と軟条(なんじょう)に分けられます。棘条は軟条と比較して強固であり先端は分枝しません。

ハオコゼ等、一部の魚の棘条には毒腺があるため注意が必要です。軟条は筋があることや先端が分枝することで棘条と比較して柔軟性に富みます。

ハオコゼ(提供:PhotoAC)

また、鰭条は数えることのできる特徴であり、棘条であれば1棘、2棘..軟条であれば1軟条、2軟条…と数えます。例えば、棘条が13本、軟条が10本ある魚は13棘10軟条と表します。この鰭条の数は同定では特に重要になるので覚えておくとよいでしょう。

主な魚の鰭には、背鰭(せびれ)・尾鰭(おびれ)・臀鰭(しりびれ)・腹鰭(はらびれ)・胸鰭(むなびれ)の5種類があります。

背鰭(せびれ)

背鰭は体側の背面にある鰭で、種によって多様性が非常に高い鰭です。

例えば、アンコウ目の魚では背鰭第1棘が誘引突起に進化し、カワハギ科の魚では棘条が非常に発達しています。

背鰭の数も種によって異なります。多くの種では1つか2つの背鰭を持ちますが、中にはマダラのように3つ持つ種もいれば、タウナギのように背鰭を欠く種もいます。

尾鰭(おびれ)

尾鰭も種の特徴をよく表す鰭といえます。後縁の形によって名称が異なり、種を識別する上で重要な形質です。

主な形は6つあり、尾鰭後縁が凹む湾入形・二重湾入形・二叉型形、尾鰭後縁が直線的な截形(せっけい)、尾鰭後縁が突出する円形・尖形があります。

臀鰭(しりびれ)

臀鰭は種によって大きな差異はありません。たまに尻鰭と表記されますが正しくは臀鰭です。

多くの種では臀鰭は1つですが、マダラのように2つ持つ種もいます。

通常、肛門は臀鰭のすぐ前にあるので肛門を探す際の目印になります。

腹鰭(はらびれ)

腹鰭は体側の腹面で左右対になっている対鰭(ついき)です。

通常は体の中央か前方に位置しますが、種にとっては後方に位置するものもいます。

また、ハゼ科のように左右の腹鰭が癒合し吸盤状に進化したグループもいます。アイゴ科では1棘

胸鰭(むなびれ)

胸鰭は頭部の後方に位置する鰭で、腹鰭と同じく対鰭です。胸鰭は背鰭や尾鰭のように種によって多様性が高いといえます。

例えばホウボウやツバメコノシロでは胸鰭の下部が遊離した特徴的な胸鰭を持ちます。遊離した軟条は遊離軟条(ゆうりなんじょう)と呼ばれ、種によって役割は異なりますが主に歩行や索餌、回避行動などの役割を担っているといわれています。

魚の体型

魚の体型も種同定で重要な特徴になります。主な体型はウナギ型、フグ型、紡錘(ぼうすい)型、側扁(へんぺい)型、縦扁(じゅうへん)型があります。

イネゴチ(提供:PhotoAC)

ウナギ型とフグ型は名前の通り、ウナギのように細長い体型とフグのようにずんぐりとした体型を表します。紡錘型はマグロやカツオのような体型を指し、回遊魚で多く見られる体型です。側扁型は側面が扁平した形で魚の基本的な形であり、多くの種がこの体型に該当します。反対に縦偏は縦に扁平した体型であり、コチ科やネズッポ科の魚がこれに該当します。

ちなみにカレイ目の魚は側扁型に該当します。「平たいじゃないか」と思うかもしれませんが、肛門を下にした時に側面から見た形がその魚の形になるため、確かにカレイ目は側扁しているといえます。

魚の模様

魚の模様は観察時に真っ先に得られる視覚的な情報であり、魚の識別では非常に重要です。

多くの魚で見られる模様がラインとドットです。ライン状の模様は帯と表し、魚の体に対して縦に帯があるのであれば縦帯、反対に横に帯があるのであれば横帯と表します。

なお、魚の縦横は頭部を上にして考えるため横向きに見ると縞が逆向きに見える現象が起こります。ドット状の模様は班と表し、クロホシイシモチのように1対のみ持つ種もいれば、オオモンハタのように密に分布する種もいます。

また、マトウダイのように大きな眼のような円班(眼状班)を持つ種も多くいます。幼魚の時のみ眼状班を持つ種も知られていることから、身を守るための役割を担っていると考えられています。

この記事で紹介した魚類学用語はごく一部です。紹介した鰭・体型・模様で識別できる種も多くいますが、中には鱗を数える必要のある種や、発光器で分類する種もいます。

また、鰭・体型・模様についても、ここでは解説しきれていない部分が多くあります。さらに知識を深めるためには次の本がおすすめです。

はじめての魚類学(宮崎佑介・著、福井歩・写真/オーム社刊)
海洋生物学マニュアル(村山司・著、野原健司・著、庄司隆行・著、田中彰 ・著/東海大学出版部・刊)

(サカナト編集部)

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