琵琶湖のニシシマドジョウを守るには
ニシシマドジョウは琵琶湖のほか、北陸地方、東海地方、山陰地方に生息しています。そしてそれらの地域でそれぞれ独特の模様をしています。
これらは、将来的にそれぞれ別種となるのかもしれません。そうなってしまうと、同じニシシマドジョウを放流したつもりでも、別の種を放流していることになります。そうなると交雑や子孫が残せないなどの問題も起こりえます。
琵琶湖産のニシシマドジョウ(提供:椎名まさと)さらに、飼育したニシシマドジョウを採集した場所と同じ河川に放流することについても問題があります。例えば、別の河川の魚と一緒に飼育していた場合、別の河川に生息していた寄生虫や病気が、ニシシマドジョウが放された川に広がってしまうかもしれないからです。
ですから、採集したニシシマドジョウは、採集した場所であっても河川に放してはいけないのです。もちろんこれはニシシマドジョウだけでなく、すべての魚に言えることです。
またニシシマドジョウは、琵琶湖やその周辺の個体群についてはとくに絶滅が心配されるような状況ではないのですが、それでも乱獲などが起こると生態系のバランスが崩れてしまう可能性があります。採集は必要最小限に留めるべきで、乱獲を招くおそれがある観賞魚店での購入も避けたほうが賢明でしょう。
上記のことに気を付けながら、あなたも琵琶湖へお出かけして、ニシシマドジョウに出会ってみませんか。そして気に入ったら持ち帰って飼育してみてもよいでしょう。
飼育はしやすく、60センチ水槽に川砂をやや厚めに敷き、上部ろ過槽、投げ込みろ過槽、水中ポンプ付ろ過槽などで水槽内に酸素がいきわたるようなろ過装置を使用し、餌も配合飼料や野菜類などを与えれば何年も生きてくれます。
(サカナトライター:椎名まさと)
参考文献
藤岡康弘・川瀬成吾・田畑諒一 編. 2024. 琵琶湖の魚類図鑑.サンライズ出版.彦根.
中島 淳・洲澤 譲・清水考昭・斎藤憲治.2012.日本産シマドジョウ属魚類の標準和名の提唱.魚類学雑誌,59(1):86?95
中島 淳・内山りゅう.2017.日本のドジョウ 形態・生態・文化と図鑑. 山と渓谷社.東京.