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「氷下魚」は何と読む? 伝統的な漁法で獲る北海道の地魚

「氷下魚」って読めますか?

過去、漢字検定にも出題された難読漢字ですが、その正体は北海道で親しまれているあの魚です。今回は氷下魚についてご紹介します。

読み方はコマイ

氷下魚は「こおりしたうお」でも「ひかぎょ」でもありません。氷下魚と書いてコマイと読みます。またの名をかんかいとも呼び、産地だとこちらのほうが通りが良いという人も少なくありません。

コマイはタラ目タラ科の魚であり、マダラをそのまま小さくしたような見た目をしています。体長は大きくてもせいぜい40センチ程度であり、1メートルを超すマダラと比較すると非常に小さいことが分かりますね。

さらに25センチ以上の大きなコマイをオオマイ、15センチ以下の小さなコマイをゴタッペと呼び、ちょっとした出世魚でもあります。

コマイは氷下魚と書くことからわかるように、氷が張るような寒い地方に生息する魚です。通常、100~300メートルの深い海に生息する本種ですが、産卵期である1~3月になると汽水域まで進出することが知られており、この時期はコマイを漁獲する伝統漁法「氷下待ち網漁」の最盛期でもあります。

伝統漁法「氷下待ち網漁」とは

コマイの主な産地は北海道の根室地方であり、この地域では「氷下待ち網漁」と呼ばれる漁法でコマイを漁獲しています。

この漁は読んで字の如く氷の下に網を張る伝統的な漁法で、明治時代、秋田県・長野県で盛んだった氷下漁が移住者によって伝来し、改良されてきたそうです。厳冬にたんぱく源を確保できることからこの地方で欠かせない漁法であり、現代に至るまで人々の生活を支えてきました。

特に道東にある風連湖は氷下待ち網漁が盛んな地域として知られ、別海町の無形文化遺産に登録されています。流氷や時化の問題がある外海と異なり、凍結した風蓮湖では毎日出漁できることに加え、コマイが暗所を好むことから氷下待ち網漁は最適の漁法と言えるかもしれません。

コマイをカチカチに干したものが名物

コマイ(提供:PhotoAC)

コマイは鮮度の低下が早い魚なので、大量に獲れたコマイは干物等の保存の高い加工品にされてきました。

現代でも一夜干しはコマイ料理の定番である他、カチカチの干したコマイの干物は北海道の隠れた名物。あまりにも固いので木槌で叩きながらほぐしたり、むしったりして食べるのが特徴です。一夜干しや干物はそのまま食べても美味しいですが、マヨネーズと一味唐辛子を付けて食べるのが現地の食べ方として知られています。

もちろん鮮魚での流通もあり、産地では煮付けやルイベなどで食べられています。しかし、鮮魚は干物と比較すると流通が少なく産地から離れた地域ではなかなかお目にかかれないのが残念ですね。

北海道と言えばサケやイクラ、カニが有名ですが、コマイのように隠れた名物が数多く存在します。こいったものは広く流通することは稀なので、ぜひ実際に産地へ赴いて楽しみましょう。

(サカナト編集部)

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