タイセイヨウサバは北東大西洋の沿岸漁業国における重要な水産資源です。日本も輸入しており、様々なサバ製品に広く利用されてきました。
現代では日本食にも欠かせないタイセイヨウサバですが、その資源量は減少しており、このままでは資源回復の可能性が低下すると言われています。
そうした状況で、海洋管理協議会(MSC)はタイセイヨウサバを含む北東大西洋の主要な魚3種について、科学的勧告に基づいた漁獲枠の同意を沿岸漁業国に求めています。
タイセイヨウサバは日本でも輸入品が広く流通
タイセイヨウサバ(ノルウェーサバ)は北東大西洋における主要な魚種の1つで、日本でも輸入品が広く流通しています。

そんなタイセイヨウサバですが、各国が独自に漁獲枠を設定したことで、過去15年間にわたる本種の総漁獲量は科学的勧告の上限を平均39パーセント上回っているとのこと。結果として、近年は資源量が減少しており、危機的閾値を下回っている状況だといいます。
こうした中で科学者たちは2026年の漁獲量を77パーセント削減することを提言。これを無視すればタイセイヨウサバの資源回復は難しくなると警告しています
580万トンの過剰な漁獲
国際海洋探査委員会(ICES)と海洋管理協議会(MSC)の新しいデータを分析した結果も出ています。
それによると、過去8年間でタイセイヨウサバに加え、タイセイヨウニシン、ブルーホワイティング(タラの仲間)が過剰に漁獲されていたといいます。その量は3種の合計で580万トン以上に達していたようです。
これら3種は欧米最大級の個体群とされ、水産資源としてだけではなく、海洋生態系の健全性を保つ上でも重要な資源とされています。
しかし、科学的根拠に基づいた漁獲枠に各国が同意できていないことから、過剰な漁獲に陥っているのが現状のようです。
一部では代替種への切り替えも
ICESはタイセイヨウサバに加え、タラの仲間であるブルーホワイティングの漁獲量についても41パーセント削減を提言しています。
タイセイヨウニシンに関しては、ここ数年加入量が増加傾向にあることから漁獲枠の拡大を推奨。とはいえ、依然として過剰な漁獲がされ、危機的閾値に近づいているとのことなので、慎重になる必要があるでしょう。
また、こうした現状を受け、ヨーロッパの水産サプライチェーンは、代替魚への切り替えも始まっているようです。
一部ではMSC認証のチリマアジなどが利用されているほか、アイスランドなどのMSC認証を取得した春産卵ニシンの需要も高まっているといいます。
手遅れになる前に対策が求められる
タイセイヨウサバの減少により、この魚で生計を立てている人たちが危機的状況に陥ってしまうと予想されます。
また、タイセイヨウサバは日本でもよく食べられている魚です。このまま資源量が減少し続ければ、日本への影響も大きいと考えられます。
漁獲量の大幅削減は厳しい面もありますが、資源回復が難しくなる前に新たな漁獲枠への同意と代替種への切り替えが求められるでしょう。
(サカナト編集部)