2025年9月上旬、「ハーフムーン」という種類のベタを我が家に迎えました。
エサへの食いつきも良く、毎日フンをしており、ヒレも綺麗な健康体ですが、ベタの特性ともいえる「フレアリング(威嚇行動)」だけは全く行いません。
家に迎えて数日は環境に慣れないのが理由だと考えていましたが、もうすぐ飼育して1ヶ月。病気を疑い始めました。
フレアリングとは?
フレアリングとは、ヒレをひろげて威嚇する行為のことです。
ベタは強い縄張り意識を持ち、気性が荒いことが多いです。特にオス同士では激しい喧嘩をすることもあり、その姿から「闘魚」といわれることも。
ベタにはさまざまな種類があり、筆者が最初に飼った「トラディショナル」という種類のベタは、綺麗な丸いヒレを広げてフレアリングしてくれました。
フレアリングはベタにとって運動と同じような行為。緊張するので高頻度でのフレアリングは推奨されませんが、ヒレの癒着を防いだり、全身の血行を良くしたりする効果もあるので、時々させると良いとされています。
個体の性格もあると思いますが、最初に飼ったベタは温度計や水草、ヒーターなど、初めて見るものには何にでもフレアリングしていたのを覚えています。しかし、今回迎えた個体は何を見せても無反応でした。
全くフレアリングをしないというのは少し心配なので、行きつけのアクアリウムショップの店員さんに相談してみました。
アイテムや方法別に試してみた! フレアリング比較
アクアリウムショップの店員さんに写真を見せて相談すると、「病気ではなさそうだけど、フレアリングをしないとヒレの癒着が心配だ」と言われ、さまざまなアイテムや方法を紹介されました。
鏡をみせてみる
まずは、筆者が最初に飼っていたベタのフレアリングにも使用していた鏡に挑戦。

鏡で自分の姿をしっかり確認した後、何事もなかったかのように、ヒレは広げずにその場を離れてしまいました。
動画をみせてみる
YouTubeなどの動画サイトにアップされている、オスのベタの動画を見せてみる方法を試してみました。

見せた途端にすぐに水面へ逃げてしまって失敗。携帯を近づけるだけで、ツボの裏や葉っぱの隙間へ隠れてしまうようになりました。
これでは「闘魚」ならぬ「逃魚」です……。
ベタ用の棒をつかってみる
棒の先端に特殊加工が施されていて、フレアリング棒としても使えるチャームの「ベタ用ネット カチョン」を使用。

鏡や動画よりも興味はあるようで、棒の角度を変えるたびに近づいてきてくれました。
しかし、フレアリングはしませんでした。
カーテン
「フレアリングさせるアイテムで反応しなかった場合は、静かな環境を作ってあげると良いかもしれない」と店員さんに聞いていたので、水槽の周りに目隠しのカーテンを設置しました。
1週間ほど静かな環境を作ってから鏡などを見せて試しましたが、やはりフレアリングは行いませんでした。
効果が出た方法はコレ
結局、店員さんにおすすめされたアイテムや方法では全くフレアリングしなかった我が家のベタ。水温やpHも適切で、エサへの食いつきも問題ないのになぜでしょうか。
数日後、フレアリングアイテムを試している動画を撮影してアクアショップの店員さんに見せると「この子の性格の可能性がある」と言われました。
詳しく話を聞いてみると、ベタは「闘魚」と呼ばれるとはいえ、中には臆病な個体がいるらしく、さらに、鏡や動画、棒などは「生体ではない」と認識できる子がいるのだとか。我が家のベタは、まさにそのタイプではないかと推測されました。
そこで「生体を見せるのが一番確実なんだけど、この子は同じオスだと委縮する可能性があるから、小さいメスを飼うのが良いかもしれない」と言われ、メスを迎えることを決意。何回かショップに通い、気に入った「ダブルテール」という種類のベタを飼い始めました。

メスが家に慣れてから対面させると、初日でフレアリング成功。ほんの数秒でしたが、家に迎えて1ヶ月半にして、初めてエラを広げているところを見ました。
メスのベタで初めてフレアリングできてから、日を追うごとにフレアリングできる秒数が延びており、まずはひと安心です。
サカナの性格を考えて飼おう
今回、ベタは「闘魚」と言われているものの、個体によって性格が異なり、フレアリングの対象となるものも違うことが分かりました。
魚を飼育するときは、魚自体の特性だけでなく、個体の性格もしっかり考慮して飼育するのが大切ですね。
心配な場合はアクアリウムショップの店員さんなどに相談をして、不安な点はしっかりと確認すると、自分も飼育している魚も安心して過ごすことができますよ。
(サカナトライター:井村詩織)