ウナギを絶滅から守るために私たちができること
近い将来、ウナギが食卓から消える可能性もあるかもしれません。そうならないためにも、私たち一人ひとりができることを考え、行動する必要があります。
まずは、ウナギがなぜ、どのようにして減っているのかを調べて、関心を持つことが大切ではないでしょうか。そして、実際にできることを考えてみました。
「土用の丑の日」の習慣を見直す
「土用の丑の日だから食べる」という習慣も大切ですが、その前に「本当に今、食べたいか」を考えてみませんか。
うな重(提供:PhotoAC)ウナギを食べることは日本人にとって大切な伝統のひとつです。しかし、ウナギの資源量は減少傾向にあり、回復を目指すにしても時間を要することが明らかになっています。
人間による乱獲が絶滅に繋がった生きものが存在する中で、「伝統だから」といって無責任に食べ続けることは自然にとって望ましくありません。
少なくとも、ウナギは特定のタイミングに大量消費をするべき資源ではないと言えるのではないでしょうか。
「放流=増える」ではないことを理解する
地域の放流イベントは、自然を考える良い機会です。しかし、ウナギに限らず、魚を放流するだけで資源量が回復するわけではありません。
もし参加する場合は、その放流事業の意味や懸念について一度考えてみませんか。
放流した魚たちがどこで育ち、どのように帰ってくるのか──生態系への影響はないだろうか──など調べてみると、より意義のある放流体験になるのではないでしょうか。
ウナギの未来のために、正しい知識を行動へ
今回のウナギ放流体験を通して、資源保全について深く考えるよい機会となりました。
大切なのは、「放流すればウナギが増える」という単純な思い込みではなく、科学的事実を知って資源保全を考えることです。
「今食べられればいい」という目先の利益だけでなく、「子や孫の世代にもウナギを残したい」という長期的な視点を持つことの大切さに気づかされました。
まずは、ウナギの課題を多くの人に知ってもらい、一人ひとりが資源保全に関心をもつことから始めていきましょう。
(サカナトライター:河野ナミ)
参考文献
2025 水産庁 水産研究・教育機構-令和6年度国際漁業資源の現況ニホンウナギ
日本経済新聞-ウナギ「全種規制へ」勧告 ワシントン条約事務局が最終評価
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