近年、新種や日本初記録種が多く発見されているハナダイ科の魚。
今回、沖縄美ら海水族館は高知大学との共同研究により、沖縄本島沖から得られたサクラダイ属の1種を日本初記録として報告し、タスキサクラダイと命名しました。この成果は「Ichthy, Natural History of Fishes of Japan」に掲載されています(論文タイトル:沖縄島近海から得られた日本初記録のハナダイ科魚類Sacura parvaタスキサクラダイ(新称)および本種の標徴の再整理)。
さらに、沖縄美ら海水族館では世界で初となるタスキサクラダイの展示も開始しました。
沖縄美ら海水族館の深海調査
沖縄の多種多様な生物を見ることができる沖縄美ら海水族館。
同館ではこれまでに多くの稀少種を展示してきており、中には世界初となった事例も少なくありません。
特に深海調査で得られた生物の展示は注目で、ROV(遠隔操作型無人潜水機)や釣りで採集された稀少種を間近に観察することができます。
実際に、今年9月にはROVで採集されたクガニウミタケハゼの展示を開始し話題となりました。
タスキサクラダイの名前の由来は?
今回、沖縄美ら海水族館と高知大学が報告した日本初記録のサクラダイ属の1種は、2019年~2023年にかけて行われてた深海生物調査で沖縄本島沖の水深約130~200メートルから釣獲されました。
タスキサクラダイ(提供:一般財団法人沖縄美ら島財団)その後、サクラダイ属の1種は高知大学理工学部海洋生物学研究室との共同研究により、これまで日本から報告されていなかったサクラダイ属の Sacura parva であることが判明。
体側の黄色斜帯が襷(たすき)を彷彿とさせることからタスキサクラダイと命名されました。
タスキサクラダイ(提供:一般財団法人沖縄美ら島財団)本種の標本も基づく記録はこれまでにオーストラリア、インドネシア、台湾からのみであり、日本からの記録は今回が初となったのです。
タスキサクラダイ(提供:一般財団法人沖縄美ら島財団)沖縄美ら海水族館ではタスキサクラダイの生体展示を開始しており、「深海の小さな生き物」コーナーで3個体が飼育されています。飼育下では標準和名の由来にもなった襷模様が変化する様子が確認されています。
日本のハナダイ科は近年新種が多数見つかる
日本のサクラダイ属はこれまでにサクラダイのみが知られていましたが、タスキサクラダイの記録により日本のサクラダイ属2種に増えました。
タスキサクラダイを含むハナダイ科魚類は近年、新種や日本初記録種が多数見つかっているグループの1つです。今後の調査でも新種や日本初記録種が見つかるかもしれませんね。
詳しい情報は沖縄美ら海水族館公式WEBサイトで確認することができます。
※2025年11月21日時点の情報です
(サカナト編集部)