山梨県は12月18日、西湖の水深約30メートルでクニマスの産卵行動を撮影することに成功したと発表しました。
現在、クニマスは山梨県の西湖のみに自然分布するサケ科魚類で、かつては絶滅したと考えられていました。
今回の成果は、本種の保全に重要な知見を与えることが期待されています。
絶滅したと考えられていたクニマス
クニマス Oncorhynchus kawamurae はサケ科の魚類です。
かつて、クニマスは秋田県田沢湖に生息していたものの、1940年代に水力発電などのため、導入された玉川の水が酸性であったため絶滅。本栖湖、西湖、琵琶湖などへ卵が移植された記録があったようですが、生息が確認されておらず絶滅したと考えられていました。
平成にクニマスが発見される
そんなクニマスですが、2010年12月に驚くべき内容が発表されます。
なんと、この年の3月にさかなクンこと宮澤正之氏から京都大学の中坊徹次教授へ送られた黒いサケ科魚類が、絶滅したと考えられていたクニマスと判明したのです。
西湖のクニマス(提供:山梨県)翌年の2月には中坊徹次教授の研究チームが論文として発表し、大きな話題となりました。これによりクニマスは環境省のレッドリストで「絶滅」から「野生絶滅」に変更されたのです。
湖底で<クニマスの産卵行動>撮影に成功
西湖で生息が確認されたクニマスですが、詳しい生態は明らかになっていませんでした。
特に保全で重要な産卵行動については、水深が深い湖底で行われるため謎に包まれていたようです。
産卵前の産卵場所堀り行動(提供:山梨県)そうした中で、山梨県はクニマスの生態を解き明かすべく長年、研究を継続。これまでの研究に基づき産卵場所の推定が行われており、今回の産卵行動はそこに設置したカメラにで撮影されました。
産卵行動(提供:山梨県)映像では複数のクニマスが湖底の砂礫を選び、産卵・受精する様子が記録されています。このクニマス産卵行動の撮影は世界で初めての事例となりました。
クニマスの保全にも貢献
今回、山梨県は湖底で産卵するクニマスの産卵行動の撮影に成功しました。
西湖のみに生息するクニマスは生態解明と保全が急務。また、本種はかつて食用として重宝されていたと言われており、水産資源としての価値も高いとされています。
水産技術センター忍野支所ではクニマスの完全養殖の確立も目指しているとのことです。
(サカナト編集部)