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小さな魚<カワバタモロコ>が絶滅危惧種になった2つの理由 守るために私たちができることは?

絶滅危惧種と聞くと、どんな魚が思いつくでしょうか。身近な魚ではメダカ(キタノメダカ、ミナミメダカ)やニホンウナギなどが絶滅危惧種に指定されています。

そんな絶滅危惧種たちの中にカワバタモロコという魚がいます。

日本に昔からたくさんいたはずのカワバタモロコが、どうして絶滅の危機に瀕しているのか。そして、絶滅を防ぐために私たちに何かできることはあるのでしょうか。

カワバタモロコはどんな魚?

カワバタモロコはコイ科に分類される日本固有種の魚です。昔はため池や小川などでよく見られた魚でした。

現在、近畿地方を中心に14府県で生息が確認されていますが、そのすべてで絶滅危惧種に指定。環境省レッドリスト2020でも絶滅危惧IB類に指定されています。

大きさは成魚でも3~5センチ程度で、孵化直後の稚魚は3ミリ程度と、日本のコイ科の中では最小クラスの魚です。

カワバタモロコ(提供:生駒市カワバタモロコ保護活動ボランティア)

光沢のある銀色で、まさに日本淡水魚といった見た目。なお、オスのカワバタモロコは5~7月の繁殖期には、金色に輝く婚姻色が発現し、非常に美しい体色になります。

カワバタモロコ(提供:生駒市カワバタモロコ保護活動ボランティア)

なぜ絶滅危惧種になってしまったのか

そんなカワバタモロコが絶滅の危機に瀕している理由は大きく2つあります。

それは「生息環境の変化」と「外来生物の侵入」です。

カワバタモロコは流れの緩やかな川岸やため池などの浅場に生い茂る水草、冠水した陸上植物の茎葉などに多数の卵を産みつける習性があります。

近年、川や池の護岸工事がすすんだことで、カワバタモロコの産卵に適した場所が減ったことが個体数減少の大きな要因であると言われています。

また、特定外来生物であるブルーギルやブラックバスなどは、餌として小型の魚類を捕食。それはカワバタモロコも例外ではなく、短期間で大量に食害されてしまいました。

条件付特定外来生物であるアメリカザリガニもカワバタモロコなどの小型魚類を捕食してしまうことが分かっており、これらの外来生物の影響により、絶滅が危惧されるほどに数を減らしてしまったと考えられています。

未来を守る地道な保護活動

カワバタモロコを絶滅させないために、各地域では様々な保護活動が行われています。

例えば、奈良県生駒市では2015年から「生駒市カワバタモロコ保護活動ボランティア」の方々が、行政や研究機関と協力しながら保護活動を実施。自然界で絶滅の危機にあるカワバタモロコを生息外の池などで飼育・繁殖することで、絶滅のリスクを分散するための活動をしています。

カワバタモロコ(提供:さご)

また、現在カワバタモロコの生息が確認されていない場所の生物調査なども行って、新たな生息地を見つけようと生駒市内さまざまなところへ活動の範囲を広げています。

このような地道な活動がカワバタモロコの未来を支えているのです。

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さご

さご

バブルこうせんを撃ちたい

ただの魚が好きな人。奈良県在住。大学ではまったく魚に関係のない哲学を学んでいた。今までの人生経験を活かして記事を書いたり書かなかったりする。海無し県民でも魚への愛情は負けません。

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