海洋プラスチックは波や紫外線により砕かれ、マイクロプラスチック、さらに細かいナノプラスチックへと姿を変えていきます。
これらは多くの海洋生物に摂取されていることが報告されてきた一方、どの大きさが危険なのか、どの経路で摂取された時に深刻な影響を与えるのかなどは謎に包まれていたといいます。
特に仔魚(しぎょ=体のつくりが未発達な初期段階の魚の幼生)への影響は重要と考えられていますが、これまで多くの研究ではナノプラスチックの影響メカニズムや、プラスチックの間接的な摂取についての実証研究は限られていました。
海洋プラスチック
近年、大きな問題となっているプラスチックごみ。世界中で排出されたプラスチックの一部はやがて、水生環境へと運ばれていきます。
海に浮かぶペットボトル(提供:PhotoAC)海へ運ばれたプラスチックは波や紫外線の影響で砕かれ、マイクロプラスチックに変化。さらに細かいナノプラスチックへと姿を変えます。
海洋におけるプラスチックごみは深刻であり、魚やクジラをはじめ既に多くの海洋生物の体内からプラスチックが発見されています。
仔魚への影響
多くの生物が摂取していることが報告されてきたプラスチックですが、「どの大きさが危険なのか」「どのように摂取されると深刻な影響を及ぼすのか」などは不明でした。
一方、特に仔魚(しぎょ)への影響を評価することは重要と考えられています。というのも、体が小さい仔魚は周囲の環境変化に敏感だからです。
加えて、仔魚は動物プランクトンを餌とするため、プランクトンが取り込んだプラスチックを摂取してしまいます。
この間接的なプラスチックの摂取が、どのくらい危険なのかは非常に重要な知見です。そうした中で、長崎大学の研究グループはマダイの仔魚を対象にマイクロ、ナノプラスチックの影響を検証しました。
プラスチックの大きさと摂取経路
実験ではプラスチックの大きさ(マイクロプラスチックとナノプラスチック)と摂取経路(直接と間接)、2つの要素に焦点が当てられました。
ワムシ類(提供:PhotoAC)具体的な内容としては、マダイの仔魚を対象に蛍光標識されたマイクロ、ナノプラスチックを用いて飼育実験を行い、プラスチック粒子をそのまま取り込む直接摂取と、ワムシを経由して取り込む間接摂取の2つの経路が設定されています。
餌を経由すると死亡率高
実験の結果では、ナノプラスチックを取り込んだマダイ仔魚において、生存率が著しく低下することが判明しました。
また、ワムシを経由してナノプラスチックを摂取した場合に最も生存率が低いことが示されたのです。加えて、抗酸化酸素の上昇などの細胞レベルのストレス反応も認められています。
これにより、プラスチックの大きさだけでなく、摂取経路の違いも仔魚に影響を与えることが明らかになりました。
ナノプラスチックの影響は大きい
今回の研究によりマイクロプラスチックよりもさらに小さい、ナノプラスチックが仔魚により大きな影響を与えること、プラスチックの摂取経由が影響の大きさを左右することが判明しました。
これらの知見は海洋プラスチック問題を理解する上で、重要な役割を担うでしょう。
この研究成果は「Science of the Total Environment」に掲載されています(論文タイトル:Trophic transfer of nanoplastics reduces larval survival of marine fish more than waterborne exposure)。
(サカナト編集部)