琉球大学・熱帯生物圏研究センター西表研究施設の和智仲是助教は、ミズメイガ亜科に属するミツクロモンミズメイガを石垣島から初めて報告しました。
ミズメイガ亜科は名前の通り湖や池などの水辺に生息する蛾で、このグループはガやチョウでは珍しく、ほとんどの属で幼虫が水生生活を送ることが知られています。
この成果は「Japanese Journal of Systematic Entomology」に掲載されています(論文タイトル:Occurrence of Eoophyla gibbosalis (Guenée, 1854)(Lepidoptera: Crambidae: Acentropinae) from Ishigaki Island, theYaeyama Islands, southwestern Japan)。
水中で生活する幼虫
昆虫というと陸生のイメージ強いですが、中には水中で生活する種も少なくありません。
ミズメイガ亜科は名前に“水”と付くように、湖や池、小川などの水辺に生息する蛾です。世界では約800種ものミズメイガ亜科が知られています。
ガやチョウでは珍しく、ほとんどの属において、幼虫が水中で生活。コケや藻などを餌として利用しています。
琉球列島を中心に分布
このグループは世界で約800種が知られており、特に種数の多いEoophyla属はインド、東南アジア、オーストラリアに広く分布。日本国内においては3種が知れており、琉球列島を中心に分布することがわかっています。
中でもミツクロモンミズメイガは、最近になって日本にも生息することが明らかになった種だそうです。本種は2014年に与那国島で初めて記録され、その後2016~2024年にかけて沖縄諸島と奄美諸島から記録されています。
ホテルの庭園で思わぬ出会い
八重山諸島においては、これまで与那国島のみからの記録にとどまっていたミツクロモンミズメイガ。
しかし、琉球大学の和智仲是助教は休暇中に、思わぬ形でミツクロモンミズメイガと出会います。なんと、宿泊していた石垣島のホテルで、和智助教の娘さんがミツクロモンミズメイガを見つけたのです。
石垣島(提供:PhotoAC)この標本が発見されたのはホテルの庭園にある観賞用の池で、和智助教が研究室に持ち帰り調べたところ、ミツクロモンミズメイガと同定。八重山諸島における本種の記録は与那国島に次ぐ2地点目となり、石垣島からは初の記録となったのです。
一方、人工的な環境から発見されたことに加え、1個体のみであることから定着状況については、より詳しい調査が必要とされています。
身近な自然観察に新たな発見
今回の記録によりミツクロモンミズメガは石垣島にも生息していることが明らかになりました。
本種は石垣島だけでなく沖縄島の記録でも人工的な水環境から発見されていることから、他の日本産Eoophyla属と比較して自然度の低い環境を利用できる可能性が示されています。
また、ホテルの庭園からこのような発見があったことは、身近な自然観察の中に、新たな発見があることを示すものとなりました。我々の生活の中にも思わぬ発見があるかもしれませんね。
(サカナト編集部)