中国原産の淡水魚ハクレン。日本に持ち込まれた過去もあり、現在では北海道と沖縄を除く各地に広まっています。この記事では、ハクレンの生態や生息地について紹介します。
ハクレンとは?
ハクレンは中国大陸が原産のコイ科ハクレン属に分類される淡水魚です。ハクレン属の魚は総じてレンギョとも呼ばれます。成魚の体長は約1メートル、大きいものは1.3メートルにもなる大型魚です。白銀の体色で、下顎が発達し受け口になっているのが特徴といえます。
日本には1878年に食用として持ち込まれました。北海道、沖縄を除く日本各地の河川・湖沼に移植されていますが、自然繁殖がみられるのは利根川・江戸川水系と淀川水系のみと言われています。
ハクレンは植物プランクトンしか食べない食性です。
原産地である中国では、食用として最も親しまれている4種の食用魚、四大家魚のひとつであり、現代もひろく養殖が行われています。
川をジャンプするダイナミックな繁殖
ハクレンは5歳以上になると性成熟し、5月から7月中旬になると川の中流域まで一斉に遡上して集団で産卵行動を行います。ハクレンの自然繁殖が確認されている利根川では、埼玉県側で久喜市付近、茨城県側では古河市付近の流域で産卵行動が行われています。
産卵期には、白波を立てて飛び跳ねる姿がよく知られています。中国では「跳鰱」と呼ばれているそう。この行動と産卵の因果関係は解明されていません。この様子が観察できるのは、1年のうちたった1日~数日だけ。この集団跳躍のあとに産卵が行われます。
産卵行動が観測されている久喜市では、これを「ハクレンジャンプ」と呼び、観光資源として紹介しています。久喜市HPでは、ハクレンという魚の生態や、久喜市において集団跳躍がみることのできる流域を紹介しています(ハクレンジャンプ-久喜市)。
卵は浮性卵で、川を下りながら発生が進みます。しかし、卵に耐塩性がないため、長い河川でないとふ化することができません。中国の大きな河川では問題ありませんが、日本の狭い河川とは相性の悪い性質で、日本での自然繁殖が限られているひとつの理由ともいえるでしょう。
利根川では、受精卵が中流域からちょうど2日後にちょうど霞ヶ浦や北浦付近の止水域に差し掛かり、仔魚が生息できる環境が整っています。
中国「四大家魚」とは?
四大家魚とは先ほど説明した通り、中国において食用として最も親しまれている4種の食用魚のことで、ソウギョ・アオウオ・ハクレン・コクレンのことを指します。家魚というのは家畜に並ぶ言葉で、牛や豚のことを家畜と呼ぶのと同じ意味です。かつてはコイを含め五大家魚と呼ばれていたそう。家魚の食性の違いを活用して編み出された循環により4種が共に養殖されています。
日本では第二次世界大戦中、食糧増産のため中国から四大家魚を導入しましたが普及しませんでした。現在では主に魚粉に加工して、養殖飼料や畜産飼料として活用されています。
(サカナト編集部)