ヒゲダイとヒゲソリダイはイサキ科の魚。近縁種なのでよく似た姿をしていますが、両者には大きな違いがあります。
それが、種名の由来にもなった“あごヒゲ”です。
ヒゲダイってどんな魚
ヒゲダイ(学名:Hapalogenys sennin)は、その名のとおり下顎に立派なひげを持つ魚です。スズキ目イサキ科ヒゲダイ属に分類されています。
タイという名前がついていますが、これは見た目が平たいということからタイというだけで、実際にはタイの仲間ではありません。
ヒゲダイは立派なひげのように見える細かい肉質皮弁があることが特徴です。この風貌から、学名に「仙人」という言葉が入れられたそうです。
岩の隙間を好むヒゲダイ(提供:PhotoAC)なお、ヒゲダイは2005年に新種登録されました。
ヒゲダイは日本固有種であり、福島県から鹿児島県にかけての太平洋沿岸や山形県以南の日本海沿岸、瀬戸内海、東シナ海沿岸などの水深50mまでの岩礁や砂地に生息します。
主に甲殻類やゴカイ類、小魚などを捕食するそうです。
ヒゲソリダイはひげ剃り後のヒゲダイのよう
ヒゲソリダイ(学名: Hapalogenys nigripinnis)の名前は、下顎の短いヒゲがヒゲ剃り後のように見えることから、名付けられたそうです。
まるでヒゲダイが散髪でひげを剃られたような見た目をしています。双方の姿がよく似ているため、2005年まではヒゲダイはヒゲソリダイに分類されてきました。
しかし、詳細な調査の結果、別種とされたそうです。
ヒゲソリダイ(提供:PhotoAC)ヒゲソリダイはもともと正式な種として登録があったため、ヒゲダイが新しい種として登録されました。既に特定の種として記載されていた生きものが実は別種だったというのは、近年よくある話ですね。
日本海南部や東シナ海の砂泥地に生息する魚で、甲殻類や小魚などを主食にしています。
筆者は香川県高松市にある「市場水族館」で見たのですが、確かに朝剃ったひげが夕方少し生えてきたような顎ヒゲでした。泳ぐ速度が速すぎて写真に撮れなかったのが残念です。
ヒゲダイは特においしい魚
ヒゲダイ属にはヒゲダイやヒゲソリダイのほか、セトダイ(学名:Hapalogenys analis)、シマセトダイ (学名:Hapalogenys kishinouyei)も分類され、計4種が報告されています。
ヒゲダイ属の魚はおいしい魚というのが魚好きの間ではよく知られていて、特にヒゲダイは美味しいとか。刺身や煮付け、鍋などどんな食べ方でもおいしく食べられるそうです。
ただ、市場に出回る量は非常に少ないレア魚なので、普通のスーパーなどでは入手困難です。
興味がある人は魚屋さんに相談してみましょう。運がよければ入手できるかもしれません。
筆者も食べてみたい魚のひとつです。
(サカナトライター:額田善之)
参考文献
Nature of Kagoshima Vol. 43 Mar. 2017、畑晴陵ら 「種子島から得られたイサキ科魚類ヒゲダイ」
2008/1/9 新種発見!-宮崎大学 岩槻幸雄研究室
ヒゲソリダイ(鬚剃鯛)-株式会社科学技術研究所