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<魚の皮>でSDGs? 革・化粧品・再生医療で広がる魚皮の可能性とは

近年、世界的に健康意識が高まり、魚の需要が増えています。

それに伴い魚の廃棄量も増加。魚の加工による廃棄率は約20〜80パーセントにのぼるとされています。

廃棄される部位の一つに「魚の皮」がありますが、これを活用する取り組みや事例があるのです。

【画像】魚の皮とは思えない? フィッシュレザーブランド「tototo」の財布や名刺入れ

環境にやさしいフィッシュレザー

フィッシュレザーとは、魚皮を牛革のようになめして革にしたものです。日本国内外で製造され、廃棄となってしまう魚の皮が利用されています。

製造方法も環境に配慮されており、染料に植物由来のタンニンを使用し、環境への負担を軽減しています。

(提供:PhotoAC)

フィッシュレザーを用いた革製品は、職人の手によって1つ1つ製造されるため、一般的な革製品よりも価格が高い傾向にあります。

しかし、個体によって柄が変わること、複数の生地を縫い合わせて作られることから、世界に2つとない革製品となるのです。また、フィッシュレザーは耐久性が高く、長く使用することで色合いが変化するため経年変化も楽しめます。

日本国内でも複数の企業がフィッシュレザーを用いた財布やカードケースなどを販売しており、オンラインストアなどで購入することが可能です。

魚の皮や目が化粧品に?

魚の目や腹側の皮、ウロコが銀色に輝いていることから着想を得て、化粧品が進化したこともあります。

銀色の輝きは、魚が持つグアニン結晶によるものです。グアニン結晶自体は無色ですが、板状かつ積層構造のため光が乱反射し、銀色の輝きを生んでいます。

この特徴から着想を得て発明されたのが、グアニン結晶を加工し添付した化粧品です。

タチウオ(提供:PhotoAC)

発明された化粧品は、シミ・くすみのカバー効果や肌のトーンアップ効果が期待できるとされており、グアニン結晶が女性の肌に輝きをもたらしました。

このように生物の構造や機能などから着想を得て、新技術の開発や商品開発に生かす技術をバイオミメティクスといいます。

タラやティラピアの皮と再生医療

このほかにも魚皮の利用は多岐にわたります。

驚くべきことに、アイスランドではタラの魚皮が、ブラジルではティラピアの魚皮が再生医療の現場で利用されているのです。

この理由のひとつに、魚皮にオメガ3脂肪酸が含まれていることがあげられます。

オメガ3脂肪酸は人間が生成できない必須脂肪酸です。魚皮にはこの成分が含まれており、ケガややけどといった慢性的な傷口に対して、細胞の再生を促すのだといいます。

ティラピア(提供:PhotoAC)

そして魚皮は保水力があるため、シートやパッチなどに加工して絆創膏のように傷口に貼ることで、比較的早く治癒するそうです。魚皮で作られたこのシートやパッチは、傷の治癒とともに溶けるようになくなることから、抜糸などの必要がなく、患者の負担軽減にもつながっています。

安全性が気になるところですが、魚と人間は生態的構造が大きく異なるため、ウイルス感染の危険性が非常に低いと考えられているようです。さらに、水質管理された魚を使用していることもあり、牛や豚と比べると安全性が高いとされています。

研究が進むことで、さらなる活用方法が発見されるかもしれませんね。

私たちにできること

魚の廃棄量を少しでも減らすために、個人でも取り組めることがあります。

たとえば、魚を丸ごと利用する<フィッシュホール>という考え方があります。魚をあら汁にしたり、骨せんべいにしたりするなど、なるべく廃棄を少なくする工夫が挙げられます。

また、スーパーでは、持続可能な漁業で水揚げされた魚や加工品にMSCやASCのマークがついていることも少なくありません。これらを意識して購入することで、企業の活動を応援できます。

このように、ちょっとした意識がSDGsにつながります。まずは、小さな一歩から始めてみませんか。

(サカナトライター:オーデン)

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