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ジャンボタニシこと<スクミリンゴガイ>の壁面歩行を阻害する表面構造とは? 非化学的な防除技術を開発

スクミリンゴガイ(ジャンボタニシ)は日本で重点対策外来種に指定されている淡水生の巻貝です。

本種は繁殖力が強く、稲の草や茎を食害することで農業に大きな被害を与えています。専用農薬などの対策が行われているものの、生息範囲は2022年までに35府県に拡大。現在も新しい防除技術の開発は重要な課題とされています。

そうした中で、京都大学地球環境学堂の橘悟研究員、生命科学研究科の西川星也特定講師らは、本種の完璧歩行を大きく抑制する表面形状を明らかにしました。

この研究成果は「Satoru Tachibana, Seiya Nishikawa」に掲載されています(論文タイトル:Walking inhibition effect of different surfaces in apple snail, Pomacea canaliculata)。

農業の厄介者<スクミリンゴガイ>

スクミリンゴガイ Pomacea canaliculata は南米原産の淡水性の巻貝です。

稲の草や茎を食害することが知られており、日本では重点対策外来生物に指定されています。

スクミリンゴガイ(提供:PhotoAC)

農業の大きな被害をもたらすため、専用農薬や物理的破壊による対策が実施されていますが、2022年までに35府県に拡大。スクミリンゴガイを防除する新たな技術は依然として重要な課題となっています。

スクミリンゴガイの防除が難しい理由

スクミリンゴガイの防除を困難にしている要因の1つとして、本種の高い繁殖力が挙げられます。

スクミリンゴガイは1個体あたり、なんと年間3000個以上の卵(1つの卵塊に数百個)を産むことができるのです。

そのため、成貝の防除のみでは個体群の増加を防げない可能性が高いとされています。

スクミリンゴガイの卵塊(提供:PhotoAC)

本種の産卵期は春~秋と長く、卵塊の除去には大きな労力が必要です。さらに、卵に含まれる毒性物質や成貝が媒介する寄生虫のリスクも懸念されています。

また、壁面に産み付けられる卵塊は景観を損なうことから、持続的かつ省力的な防除技術の開発が求められていました。

岸壁への移動を阻害

そうした中で、研究グループはスクミリンゴガイが壁面にのぼり卵を産む行動に着目しました。

非化学的な新たな防除技術として、本種の垂直移動を阻害する表面形状の探索を実施。壁面への移動を阻害することで、産卵機会を抑制できると考えられています。

3Dプリンターで様々な表面を作成

研究では、3D-CADと3D プリンターを用いることで、縦スリット、横スリット、トゲといった複数の表面サンプルが作成されました。

作成した表面サンプルを水槽で壁面に垂直で設置。スクミリンゴガイが通過できるかどうかなど、動画解析により調査が行われました。

凹凸が歩行を抑制

実験の結果、多くの凹凸構造で、上方向への通過が抑制されることが明らかになっています。

中でも、縦スリットおよび横スリットを備えた表面では、それぞれ約0.4パーセント、約5.1パーセントとなっており、平坦表面の19.7パーセントと比べ大きく低下したのです。

このような凹凸のある表面は、スクミリンゴガイの落下を引き起こすことが示唆されており、隙間によって粘液や吸着では体を支えきれなくなることが、1つの要因と考えられています。

壁面やトラップへ応用

今回の研究によって、凹凸のある表面がスクミリンゴガイの上方への移動を抑制することが示されました。

この成果は、水路壁面や捕獲トラップへの応用が期待されています。一方、今回の研究は室内で行われたため、実用化には多くの課題が残っているといいます。

今後の研究で課題が解決されることが望まれています。

(サカナト編集部)

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